前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れが一服し、序盤のドル円・クロス円は小動きの展開となった。そして、下落して始まった日経平均株価が下げ幅を縮小したことに加え、国内輸入企業によるドル買いも見られ、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後、ドルは対円で上値の重い動きとなり、ユーロやポンドに対しても下落した。そして、欧米の株価上昇や、イタリア財政問題や英国のEU離脱問題に進展が見られたことから、投資家のリスク回避の動きも和らぎ、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された耐久財受注や雇用関連の経済指標が冴えない結果となったことから、ドルは主要通貨に対して下落した。その後、値を戻したものの、米感謝祭を控えて市場参加者が少なく、全般的にやや狭いレンジ内の動きに留まった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)英国のEU離脱に関する不透明感やイタリアの財政問題、世界的な株安、原油価格の急落を背景に投資家のリスク回避の動きが強まり、ドルが買われた海外市場の流れが一服し、序盤はやや上値の重い展開となった。
(2)大きく下落して始まった日経平均株価が徐々に下げ幅を縮小したことを受けて、ドル円・クロス円も底固い動きとなった。また、仲値公示にかけては本邦輸入企業によるドル買いも入り、ドル/円は一時112.93まで上昇した。ただ、明日からの米感謝祭休暇を控えた調整的な売買もあり、ドルは上値の重い動きとなった。
(3)欧州の主要株価や、米株価先物指数の上昇を受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、英国のEU離脱を巡り、11/25のEU首脳会議での合意に向けた交渉が進んだことに加え、欧州委員会がイタリアの予算案を違反と判断したが、イタリアのサルビーニ副首相が予算案の見直しに応じる可能性があるとの報道を受けて、ポンドやユーロも堅調な動きとなった。
(4)序盤に発表された新規失業保険申請件数や耐久財受注が市場予想より悪化したことから、ドルは軟調な動きとなった。また、サルビーニ氏の政党「同盟」が見直しに応じる可能性との報道を否定したことから、ユーロも下落に転じた。
(5)米主要株価が堅調な動きとなったことに加え、ドルはユーロやポンドなどに対して上昇となり、対円でも底固い動きとなった。ただ、米感謝祭を控えて市場参加者が少なく、全般的にやや狭いレンジ内の動きに留まった。
本日のトピックス
東京市場の序盤では、ドル/円が113円台で推移しており、底固い動きが続いている。今晩の米感謝祭や翌日の日本市場の休場を控えて積極的な売買が手控えられており、狭いレンジ内の動きが続く可能性が考えられる。ただ、ポジション調整などのフローが入る場合には下振れする可能性もあることから、注意が必要だろう。
本日、南アフリカ中銀の政策金利発表が予定(22時20分前後 時間不確定)されており、マーケットでは0.25%の利上げが予定されている。エコノミスト予想では、0.25%の利上げと金利据え置きがほぼ二分している。最近の原油価格の下落(1ヵ月半で76ドル台から52ドル台まで下落)は、原油輸入国である南アフリカ経済にとってはプラスだが、物価の低下観測があることや、マイナス成長となっていることから、金利据え置き(利上げは1月に先送りする)となる可能性も考えられる。どちらの結果でも、ランド相場に動きが出る可能性があることから注目したい。
そして、米国では、Thanks giving Day(感謝祭)で主要市場が休場となるが、米感謝祭翌日の金曜日は、ブラック・フライデーと呼ばれ、年末商戦の始まりとされる日となる。小売店などで大規模な安売りが実施されることから、クリスマスや年末年始商戦を占う意味でも注目が集まっている。全米小売業協会の推計では、今年の11月、12月の小売売上高は前年比ベースで+4.3%〜+4.8%との見通しも出ている。ただ、このところの雇用環境の改善や賃金の上昇を考慮すれば、5%以上の伸びを期待する向きもあり、売れ行きなどに注目したい。