前営業日トピックス
東京市場では、米国株の下落により投資家の心理が冷え込んだ流れを受けて、序盤から上値の重い動きとなった。そして、下落して始まった日経平均株価が下げ幅を縮小したことや、実需のドル買い・円売りも入り、堅調な動きも見られた。しかし、アジア市場の株価下落が影響し、上値の重い動きが続いた。
米国市場では、英国のEU離脱やイタリアの財政問題を巡る不透明感を背景に、ポンドやユーロが対ドルで下落、さらに原油価格の下落で資源国通貨もドルに対して下落となるなど、ドルが主要通貨に対して上昇となり、対円でも堅調な動きとなった。ただ、ダウ平均株価が終盤に648ドル安まで下落するなど、主要株価が軒並み大幅下落となったこともあり、ドルは終盤に上値の重い動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場で株価が大幅下落となったことを受けて軟調な動きとなった流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から下落した。そして、日経平均株価が下落して始まったものの、その後下げ幅を縮小したことや、仲値公示にかけて国内輸入企業によるドル買い、また米長期金利の上昇を受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(2)午後には、日経平均株価が再び下げ幅を拡大したことに加え、香港、中国株の大幅下落、欧州主要株価が下落して始まったことも影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(3)下げ一服感から、ドル円・クロス円の買い戻しも入り、値を戻したが、米長期金利が一段の低下となったことが影響し、ドル売り・円買いが優勢となった。前日の米国の住宅関連の経済指標が大幅悪化となったことで、この日の住宅関連指標にもやや懸念が広がっていたが、結果は住宅着工件数が市場予想と一致、建設許可件数が予想を上回る結果となったことで、やや不安感が後退した。また、予算案をめぐるイタリアとEUの対立、英国のEU離脱に絡む政治的不透明感を背景に、ユーロ、ポンドがドルや円に対して軟調な動きが続いた。また、原油価格が53ドル台まで下落し、約1年1ヵ月ぶりの安値となったことを受けて、資源国・新興国通貨も軒並み下落となった。
(4)米ダウ平均株価が一時650ドル近い下落となるなど、主要株価が下げ幅を拡大したことから、ドル円は上値の重い動きとなり、クロス円は軟調な動きとなった。
本日のトピックス
前日の海外市場では、ドルが大半の主要通貨に対して上昇したが、予算案をめぐるイタリアとEUの対立、英国のEU離脱に絡む政治的な不透明感、また原油価格の大幅下落などが影響し、ユーロやポンド、そして資源国・新興国通貨が下落となり、必然的にドルが買われるた。そのため、欧米の株価が大幅下落となったものの、ドル/円は堅調な動きが続いた。
イタリアや英国の離脱問題に進展がない場合や、株価、資源価格の下落が続く場合には、引き続きドルや円が買われる展開も考えられる。週明けの米NAHB住宅市場指数が大幅低下となったことから、昨晩の住宅着工件数の結果にも不安感が高まっていたが、まずまずの結果となり不安感が後退した。ただ、本日の中古住宅販売件数の結果が冴えない結果となるようなら、ドルも売られる展開となる可能性も警戒される。また、耐久財受注、ミシガン大学消費者信頼感指数の結果にも注目したい。感謝祭前日で市場参加がますます少なくなり、流動性も低下することから、変動幅が大きくなる可能性にも警戒したい。
11/21の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
22:30 | 米国 |
10月耐久財受注(前月比)
耐久財受注(Durable Goods Manufacture's Orders)は、米国の耐久財(耐久年数3年以上)の新規受注額を集計した指標であり、設備投資の先行指標として注目されている。特に、変動の大きい輸送用機器などを除いた受注額が民間の設備投資の先行指標として注目されている。
|
-2.5% | 0.7% |
前回は、市場予想を大きく下回り、前月からも大きく低下した。資本財や民間航空機が前月から大きく低下となったことが影響し、変動の激しい輸送機器を除く受注も低下した。今回は、マイナス圏まで低下すると予想されており、予想通りなら、1月以来の低水準となる。貿易問題をめぐる懸念やハリケーンが影響している可能性も考えられる。 | ||||
0:00 | 米国 |
10月中古住宅販売件数
中古住宅販売件数は、所有権が移転した中古住宅の販売件数であり、米国の景気動向を見る上で重要視されている経済指標の一つである。所得やローン金利の動向に影響を受けることから、ローン金利動向やローン申請件数と関係も深い。
|
520万件 | 515万件 |
前回は、6ヵ月連続の低下となり、2015年11月以来の低水準となった。ローン金利や住宅価格の上昇が住宅市場の鈍化要因となっている。今回は、若干の増加が予想されているが、10月にもハリケーンの被害も出ており、9月と同様に影響が出ている可能性も考えられる。 | ||||
0:00 | 米国 |
11月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
|
98.3 | 98.3 |
前回の速報値は、市場予想と一致したが、2ヵ月連続の低下となった。ただ、依然として2004年以来の高水準を維持している。今回の確定値では、市場予想は横ばいが予想されており、今年の平均が98.4であり、市場予想がほぼ平均であることから大きな反応はないだろう。 |