前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の株高や金利上昇を受けてギャップアップして始まった。米株高を背景に日経平均株価が堅調な展開で始まったことから、投資家のリスク回避姿勢が和らぎ、円を売ってドルを買う動きが先行した。また、実需のドル買いも入り、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後は、やや上値の重い動きが続いたものの、欧米の株価上昇もあり底固い動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表されたADP雇用統計が市場予想を上回ったことが好感され、ドルが主要通貨に対して堅調な動きとなった。また、欧米の主要株価が大きく上昇したことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後は、月末のポジション調整や、米長期金利の低下も加わり、ドル円・クロス円は一段の下落となった。ただ、米主要株価が堅調な動きとなったこともあり、終盤は底固い動きも見られた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の堅調な流れを受けて、ドル円・クロス円はギャップアップで始まった。米主要株価が軒並み大幅上昇となったことや、米10年国債利回りが上昇したことが引き続き材料視された。その後、日経平均株価が堅調な展開で始まったことや、投機的なドル買いのほか、月末の実需のドル買いフローも流入していることから堅調な動きとなった。
(2)ドル/円は3週間ぶりの高値を付け、やや値頃感が意識されて上値の重い動きとなったものの、日経平均株価が400円以上、2%を超える上昇となったこともあり、底固い動きが続いた。
(3)欧州主要株価や米株価先物の上昇に加え、米ADP雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を上回り、8ヵ月ぶりの大幅な伸びとなった。また雇用コスト指数も賃金の上昇が寄与して予想を上回る結果となったことが好感され、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
(4)ロンドン・フィキシングで月末のポジション調整なども影響し、ドル円・クロス円は下落した。また、米長期金利が低下したこともドル売り・円買いを後押しした。一方、英国のEU離脱担当相がEUとの離脱合意がまとまる見通しと書簡で示したことを受けて、ポンドは反発となった。また、ユーロ圏経済の先行き不透明を背景に、ユーロは主要通貨に対して軟調な動きとなった。その後、株高を背景に値を戻したものの、終盤に株価が上げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
英国のEU離脱に関して、金融サービス部門で合意との報道を受けて、ポンドが主要通貨に対して上昇している。ただ、国境問題やメイ首相が移行期間の延長を協議する可能性を示唆したことから、引き続き協議の行方が注目される。
そして、本日は英中銀の金融政策発表が予定されており、政策金利などの据え置きがコンセンサスとなっている。前回は、英国のEU離脱に対する懸念も指摘され、全会一致の据え置きとなった。今回も全会一致での据え置きが予定されており、金利先物市場での利上げ確率も来年秋でも50%程度と依然として低水準となっている。今回の声明でEU離脱の影響が指摘されるようなら、ポンド相場に影響する可能性が考えられる。
米国市場では、新規失業保険申請件数、非農業部門労働生産性、ISM製造業景況指数など、米国の雇用統計を見る上で参考にされる米経済指標が発表される。同じく参考にされる昨日のADP雇用統計や10/30の消費者信頼感指数がともに良好な結果だったことから、本日の結果にも注目したい。
11/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
3Q非農業部門労働生産性(前期比年率)
農業部門を除いた労働者一人当たりの生産高を示した経済指標で、企業景況や個人消費への影響が大きく、景気動向を判断する指標として注目されている。
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2.1% | 2.9% |
前回は、速報値と一致し、2015年3月以来の高い伸びとなった。生産や価格指数が大きく伸びたことが影響した。注目された時間当たり給与は、前期や速報値から低下した。今回の労働生産性は前期からの低下が予想されており、特に、時間当たりの給与の低下が続く場合には、雇用統計の賃金の伸びへの懸念が高まる可能性もあるだろう。 | ||||
23:00 | 米国 |
10月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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59.0 | 59.8 |
前回は、市場予想を下回り、14年ぶりの高水準となった前月から低下した。新規受注や仕入れ価格などが低下する中、雇用は3ヵ月連続の上昇となったこともあり、前回の雇用統計で製造業の改善に繋がったと考えられる。今回は、景況指数が若干の低下が予想されているが、上昇が続く雇用指数の結果に注目したい。 |