前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価の上昇や大型企業買収の発表などが好感され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後、米中貿易摩擦に対する懸念が高まったことで、株価が下落するなど投資家のリスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、トランプ米大統領がカナダとの通商交渉に期待を示したことを受けてドル買い円売りが先行し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、米国の長短金利上昇も加わり、ドルは堅調な動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったことや、ルネサスエレクトロニクスが米国の半導体大手インテグレーテッド・デバイス・テクノロジーを67億ドル(約7330億円)で買収すると報道されたことを受けて、ドル買い・円売りが優勢となった。
(2)マーケットでは、米中貿易摩擦に対する懸念が根強く、ドルはやや伸び悩む展開となった。その後は、英国のEU離脱交渉を巡るセンチメントの改善などを背景に、ポンド、ユーロがドルや円に対して堅調な動きとなり、ドル円も連れ高となった。
(3)中国がWTO(世界貿易機関)に対し、米国に制裁を科すことを求める方針であることが明らかになり、米中貿易摩擦が懸念されたことで、欧州主要株価や米株価先物が下落となり、円が買われた。
(4)米国の長短金利の上昇やトランプ米大統領がカナダとの通商交渉に期待を示したこと、また米求人件数が過去最高となったことを受けて、ドル買いが優勢となった。また、イタリア政府の財政運営への懸念が後退したことや、英国のEU離脱交渉が進展している兆候などを受けて、ユーロやポンドなどのクロス円も堅調な動きとなった。そして、米国の追加利上げ観測などもあり、政策金利の動向に敏感な米2年債利回りは、2008年7月以来約10年2ヵ月ぶりの高水準となった。
本日のトピックス
カナダと米国の通商問題進展の思惑が高まる中、中国がWTO(世界貿易機関)に対して、米国に制裁を科すことを求める方針が伝わったことから、米中貿易摩擦への懸念が高まっており、ドルの上値を抑える要因となるだろう。ただ、米国側は中間選挙を控えていること、中国側は株価下落など経済への影響が懸念されていることから、貿易戦争へ発展する可能性は低いとの見方もあり、マーケットへの影響は限定的とも考えられる。ただ、依然として関連する報道や要人発言を受けて動きが出ていることから、引き続き注意したい。そして、セントルイス連銀総裁とブレイナードFRB理事が、共に経済と金融政策の見通しについて講演をする予定となっており、月内にFOMCで利上げが確実視されていることから、発言の内容に注目したい。また、FOMCの資料となるベージュブック(米地区連銀経済報告)の発表も予定されており、こちらの内容にも注目したい。
9/12の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
8月生産者物価指数(前月比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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0.2% | 0.0% |
前回は、市場予想を下回る結果となり、2017年12月以来の低い伸びとなった。サービスのコストが今年に入って初めて低下したことが影響した。今回は、伸びが予想されているが、前回マイナスとなったサービスや、2ヵ月連続でマイナスが続く食料品に改善が見られるのか注目したい。 |