前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて序盤から軟調な動きとなった。トランプ米大統領が、FRBの利上げを批判したことや、欧州と中国が為替相場を操作していると指摘したことが嫌気され、ドル売り・円買いが優勢となった。その後は、下げが一服し、値頃感の買い戻しが入ったことや、下落して始まった日経平均株価がプラス圏まで上昇したこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
海外市場では、米中貿易戦争の収束期待を背景にリスク回避の動きが後退し、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。また、米主要株価が軒並み上昇したことも影響した。しかし、引けにかけては、米株価が上げ幅を縮小したことが影響し、上値の重い動きが続いた。そして、引け後にトランプ米大統領の元顧問弁護士が選挙資金関連の違反を認めたとの報道を受けて、ドル円・クロス円は一段の下落となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)トランプ米大統領がFRBの利上げに不満を示したことなどを背景に、海外市場で円高が進んだ流れを受けて、円買いが先行した。また、日経平均株価が下落して始まったことも加わり、ドル/円は110円台を割り込む動きとなった。110円台割れ近辺では、ストップロスも見られ、6/27以来の安値を付けた。一方、ユーロは対ドルで1.15を上抜けたことからショートカバーが入り、一段の上昇となった。
(2)日経平均株価が下げ幅を縮小し、午後にプラス圏まで上昇したことに加え、米長期金利が上昇したことを受けて、ドル円クロス円は堅調な動きとなった。ただ、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きともあり、対円でもやや上値の重い動きとなった。その後、欧州主要株価が堅調な動きとなったこともあり、底固い動きとなった。
(3)米国の主要な経済指標の発表がなく、新規材料に乏しい中、米中貿易戦争の収束期待を背景にリスク回避の動きが後退し、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、米主要株価が軒並み上昇したことも影響した。ただ、ドル/円は110.50以上では断続的な売りが見られたことから、上値の重い動きとなった。
(4)ドルは上値の重い動きが続いたものの、対ドルでユーロやポンドなどが上昇となり、対円でも堅調な動きとなった。特に、英国のEU離脱を巡り、主席交渉官会合が開催、今後は継続的な交渉に移ることで合意したことが好感され、ポンドはドルや円に対して上昇し、約2週間ぶりの高値となった。しかし、米国市場の引け後に、トランプ大統領の元顧問弁護士が、ある候補者の指示で選挙法に違反したとの発言が報道されたことを受けて、リスク回避の動きからその後のオセアニア市場でドル円・クロス円は一段の下落となった。
本日のトピックス
マーケットでは、米中通商協議やFOMC議事録、ジャクソンホールの経済シンポジウムでのFRB議長の講演を控えて様子見ムードもあり、やや底固い動きとなっていた。しかし、朝方のコーエン氏の発言が報道されたことを受けてドル円・クロス円は一段の下落となった。さらに、ロシア疑惑が再燃するとの懸念も浮上したことで、投資家はリスク回避の動きに敏感になっており、ドル円・クロス円上値の重い動きが考えられる。
そして、本日から明日まで米中通商協議が行われる予定だが、トップ級会談ではなく次官級会談であり、貿易戦争を落ち着かせることが目的と見られており、影響は限定的だろう。ただ、8/23に米国が中国製品を対象にした制裁関税(160億ドル分)の発動、中国は報復関税の発動を予定しているが、これが延期されるようなことに繋がれば、ドル円・クロス円の反発に繋がる可能性もあるだろう。
さらに、FOMCの議事録の公表も予定されており、内容が注目される。トランプ大統領が利上げに対して批判的な見解を示したことや、FOMCの投票権を保有するアトランタ連銀総裁が年内あと1回の利上げを支持するとの発言があったことから、年内あと2回の利上げの可能性が再確認できれば、マーケットでは安心感が出るだろう。
8/22の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
7月中古住宅販売件数
中古住宅販売件数は、所有権が移転した中古住宅の販売件数であり、米国の景気動向を見る上で重要視されている経済指標の一つである。所得やローン金利の動向に影響を受けることから、ローン金利動向やローン申請件数と関係も深い。
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541万件 | 538万件 |
前回は、3ヵ月連続の低下となり、1月以来の低水準となった。今回は、先行指標となる仮契約指数が大きく伸びていることもあり、持ち直しが予想されている。ただ、住宅価格の上昇、ローン金利の上昇などのマイナス要因もあることから、大幅な増加は見込めないだろう。 | ||||
翌3:00 | 米国 |
FOMC議事録公表[7月31-8月1日] |
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前回のFOMCでは、予想通り政策金利の据え置きが決定され、経済活動は力強いペースで拡大しているとの認識が示された。議事録では、利上げのペースは変わらず、次回9月と12月に予想されている利上げ見通しが再確認できるかが注目されている。 |