前営業日トピックス
東京市場では、米株高を受けて比較的安全な資産とされる円を売ってドルを買う動きが優勢となった海外市場の流れを引き継ぎ、小動きながらドル円・クロス円は堅調となった。しかし、上値は限定的となり、週末の利益確定も見られ、その後は上値の重い動きとなった。さらに、中国株の下落も加わり、一段の下げとなる場面もあった。そして、トルコが自宅軟禁している米国人牧師を速やかに解放しなければ、追加制裁を課す用意があると、米財務長官が警告したことから、リスク回避の動きが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。ただ、その後は米主要株価が堅調な動きとなったことや、米中の貿易を巡る緊張が緩和するとの見方を背景に、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)新規材料に乏しい中、前日の海外時間に、トランプ米大統領が米国経済は堅調との見方を示したことが引き続き材料視され、ドルは底固い動きとなった。ただ、ムニューシン米財務長官の「トルコが拘束している米国人牧師を解放しなければ一段の行動を取る」との発言もあり、上値は限定的となった。そして、利益確定のドル売り・円買いもあり、仲値公示近辺にかけてやや軟調な動きとなった。
(2)週明けから新興国通貨を中心に大きな動きとなり、週末で新規材料に乏しいことから、小動きの展開が続いた。ただ、米国とトルコの関係悪化に対する懸念や、中国の景気減速を警戒する声があることや、中国株が大きく下落したことが影響し、欧州勢がリスク回避の円買いを先行させたことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(3)トルコの裁判所は、当局が拘束中の米国人牧師の釈放を求める訴えを退けた。これを受けて、ムニューシン米財務長官が「自宅軟禁している米国人牧師を速やかに解放しなければ、追加制裁を課す用意がある」と警告したことから、トルコリラが下落。また、リスク回避の動きからドル円・クロス円も軟調な動きとなった。
(4)米主要株価が堅調な動きとなったことや、米中の貿易を巡る緊張が緩和するとの見方を背景に、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ただ、米経済指標が冴えない結果となったことからドルはやや上値の重い動きとなった。一方、ユーロは、対ドルで堅調な動きが続き、対円でも堅調な動きが続いた。そして、終盤に、格付け会社のS&P、ムーディーズがともにトルコ格付けの引き下げを発表したものの、反応は限定的だった。
本日のトピックス
先週末に、大手格付け会社2社がトルコの格下げを発表したが、やや反応は限定的となった。今週はトルコが連休(8/20-24)となることもあり、トルコ発の懸念は一旦落ち着くだろう。そして、米国市場では、主要な経済指標の発表がなく新規材料に乏しい中、次官級協議(8/22-23)に注目が集まるが、トップ級会談でないことから、通商問題に対する懸念を落ち着かせる程度との見方もあり、期待先行とはなり難いだろう。
本日は、主要な経済指標の発表がなく限定的な動きが予想される。ただ、株式市場や債券市場の動きには注目したい。
気まぐれ投資コラム
ユーロは売り越しに転じる
CFTC(米商品先物取引委員会)のIMM通貨先物の投機部門の取組では、ドルの主要6通貨(円、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル)に対する買い越し額は237億ドル(前週220億2000万ドル)と拡大し、2017年1月中旬以来の高水準となった。ドルの買い越しは9週連続。
ユーロは、前週の買い越しから1789枚(前週10565枚の買い越し)売り越しに転じた、円の売り越しは58386枚(前週62807枚)、豪ドルの売り越しは51783枚(前週54540枚)、ポンドの売り越しは60741枚(前週58852枚)。また、ニュージーランドドル(NZドル)、メキシコペソ、ブラジルレアル、ロシアルーブルを含めた10通貨に対しては243億4800万ドルの買い越し(前週229億2900万ドル)と拡大した。
米国とトルコとの問題や、米中貿易摩擦を巡る警戒感も相まって、ドルは4月中旬以降、通貨バスケットに対して8%近く上昇している。
※出所:CFTCのデータを基にSBILMが作成
※出所:CFTCのデータを基にSBILMが作成