前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、中国商務次官が通商協議のために8月末に訪米するとの報道が伝わったことから、リスク回避の動きが後退し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、影響が懸念されて下落していた豪ドルや南アランドも堅調な動きとなった。その後は、新規材料に乏しく、小動きの展開が続いた。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が冴えない結果となったことから、ドルは主要通貨に対して下落した。ただ、良好な米企業決算を受けて株価が大幅上昇となったほか、トランプ大統領やクドローNEC委員長による発言も加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後、ムニューシン米財務長官が、トルコに対して追加制裁を課す用意があると述べたことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)トルコや中国に対する懸念などを背景に、序盤から軟調な動きとなった。また、日経平均株価が下落したことも嫌気され、リスク回避の動きが優勢となった。さらに、トルコが身柄を拘束している米国人牧師を解放したとしても、米国の鉄鋼関税の解除にはつながらないとホワイトハウスが表明したことも圧迫要因となった。
(2)仲値公示通過後に、中国商務次官が通商協議のために8月末に訪米するとの報道を受けて、止まっていた米中通商協議が動き出すことへの期待感から、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、ドルのショートカバーに加え、下落して始まった日経平均株価が急速に下げ幅を縮小し、一時プラス圏まで反発したことも押し上げ要因となった。その後は、小動きの展開が続いた。
(3)米国市場では、米住宅着工件数やフィラデルフィア連銀景況指数が市場予想を下回る結果となったことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ただ、米小売り大手の決算発表で売り上げが過去10年で最大となるなど、米企業の好業績が相次いだことを好感し、米主要株価が軒並み上昇となったことを受けて、ドルは値を戻し、クロス円も堅調な動きとなった。また、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長がドルは強いと発言したこともドルを押し上げる要因となった。一方、トルコのアルバイラク財務相は、投資家との電話会議で、インフレの抑制と経常赤字の縮小が政策の優先事項だとし、資本の動きに規制を設けることを政策の選択肢から排除したと述べたが、トルコリラの反応は限定的だった。
(4)ムニューシン米財務長官が、トルコが拘束する米国人牧師の釈放を拒否すれば、米国は追加制裁を課す用意があると述べたことに反応し、リスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
来週、米中の通商協議が再開されることから、通商問題に関する懸念が緩和するとの楽観的な見方がある一方、ムニューシン米財務長官が、トルコに対して追加制裁を課す用意があると発言するなど、トルコ問題に関する懸念は依然として根強い。そして、要人発言などを受けて急に動きが出ることが続いていることから、トルコ問題に関する報道や発言には引き続き注意したい。
米国市場では、ミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されており、貿易関連やトルコ問題が消費者マインドに影響しているのか注目される。また、米格付け会社のS&Pがトルコのソブリン格付け見直しの結果を発表する予定であることから、結果を受けて波乱(引け後の発表の場合は週明け)あるのか注意したい。
8/17の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
8月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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98.0 | 97.9 |
前回は、市場予想を上回ったものの6月から低下となり、1月以来の低水準となった。貿易摩擦をめぐる懸念が広がったことが要因となった。期待指数は上昇したものの、現況指数が低下となった。今回は若干の改善が予想されているものの、貿易問題などが燻っていることから、引き続き消費者の悲観的な見方が示される可能性も考えられる。 |