前営業日トピックス
東京市場では、日米両政府による新貿易協議をにらみ、様子見ムードから小動きの展開で始まった。ただ、日経平均株価が下落したことや、ユーロなどの下落などが影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一部では、米国が保護主義的な要求を強く打ち出せばマーケットへの影響もあるとの見方も、上値を重くする要因となった。そして、日経平均株価が引けにかけて下げ幅を拡大したことや、欧州主要株価が下落したことも加わり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米国市場では、トランプ米大統領が対トルコ関税の倍増を指示したことから、米国とトルコの対立が一段と高まると懸念され、リスク回避の動きが強まった。トルコリラはドルや円に対して最安値を更新し、また新興国通貨の下落も加速した。トランプ氏の弁護士がトルコの牧師拘束問題の解決が近いと発言したことで、やや懸念が後退し、ドル円・クロス円はやや値を戻した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価の下落したことで、投資家心理が冷え込み、安全資産とされる円が買われた。 また、ストップロスを巻き込んで、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(2)トルコ下落を背景に、ECBが域内の大手金融機関の対トルコのエクスポージャーを懸念しているとの一部報道などが影響し、海外投機筋を中心にユーロ/ドルは1.15ドル割れを試す動きとなった。そして、1.15ドルを割り込むと損失確定のユーロ売りを巻き込んで下げが加速した。さらにロングの投げを誘発して一気に下げ幅が拡大した。ドルは対ユーロで上昇したこともあり、底固い動きも見られた。
(3)トランプ米大統領が対トルコ関税の倍増を指示との報道を受けて、再びリスク回避の動きが強まった。また、ユーロが下げ幅を拡大したことや、新興国通貨や資源国通貨が全般に下落していることなどを背景に再びドル円・クロス円は軟調な動きとなった。豪ドルは対米ドルで昨年1月以来の安値、英ポンドが対ドルで昨年6月以来の安値に下落した。新興国通貨の南アランドやロシアルーブルも下落した。
(4)トランプ米大統領の弁護士がトルコの牧師拘束問題の解決は近いと発言したことを受けて、ややリスク回避の動きが後退し、ドル円・クロス円は値を戻した。
本日のトピックス
先週のトルコリラの下落や、そこから波及した新興国通貨、ユーロ下落の動きに落ち着きが見られるのか注目したい。特に、トルコリラやロシアルーブル、ブラジルレアルなどの新興国通貨の下落が続く場合には、リスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続く可能性も考えられる。本日は、日本や海外市場でも主要な経済指標の発表がないことや、内外で夏季休暇に入っていることから市場参加者が少なく、限定的な動きが考えられる。ただ、報道などを受けて動く場合には、比較的大きな動きとなる可能性があることから、十分に注意したい。
気まぐれ投資コラム
ドルの主要6通貨に対する買い越し額は2017年1月中旬以来の高水準
CFTC(米商品先物取引委員会)が公表したIMM通貨先物の投機部門の取組では、ドルの主要6通貨(円、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル)に対する買い越し額が2017年1月中旬以来の高水準となった。ユーロの買い越しは10565枚(前週22825枚)、円の売り越しは62807枚(68457枚)、豪ドルの売り越しは54540枚(51476枚)、ポンドの売り越しは58852枚(47386)。ドルの買い越し額は220億2000万ドル(前週200億6000万ドル)、買い越しは8週連続となった。また、ニュージーランドドル、メキシコペソ、ブラジルレアル、ロシアルーブルを含めた全通貨に対しては229億2900万ドルの買い越し(前週212億2200万ドル)。
※出所:CFTCのデータを基にSBILMが作成
※出所:CFTCのデータを基にSBILMが作成