前営業日トピックス
米中の関税を巡る交渉努力が不調に終わったことから、米政府が追加で2000億ドル規模の対中制裁関税リストを発表との報道を受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。また、日経平均株価が大きく下落したことも加わり、リスク回避の円買いが優勢となった。その後、値頃感の買い戻しに加え、日経平均が下げ幅を縮小したことから、値を戻した。しかし、中国側が米国の行動に強く反対、米国の新たな関税に報復せざるを得ないとの意向が示されたことから、上値の重い動きが続いた。
米国市場では、米生産者物価指数が市場予想を上回ったことを受けて、米国の利上げペースが加速するとの観測を背景に米長期金利が上昇し、ドル買い・円売りが優勢となった。ドル/円は、一時112.18まで上昇し、1/10以来の高値を付けた。ただ、欧米の主要株価が下落したことが影響し、ドル円・クロス円はその後上値の重い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米市場の引け後に、米国が追加で2000億ドル規模の中国製品に対する関税リストの発表を準備しているとの報道を受けて、ドル円・クロス円はギャップダウンして始まった。関税を巡る中国との交渉努力は不調に終わったことが引き金となったことが明らかにされ、下げが拡大した。また、日経平均株価が下落して始まり、一時450円以上の下落となったことも影響した。
(2)対中関税に関する最終的な米国の決定は8/30以降の見込みとされており、それまでに合意の可能性が残されているとの見方から、値を戻す動きも見られた。ただ、中国商務省が米国のリスト提示は受け入れられないとし、中国は報復手段を検討するだろうとの見方を示したことから、上値の重い動きが続いた。
(3)欧州市場では、買い戻しの動きが見られたものの、今後の展開を見極めたいとの思惑もあり、やや上値は限定的となった。米国市場では、米生産者物価指数が市場予想を上回り、前年比では2011年11月以来、6年7ヵ月ぶりの高い上昇率となったことを受けてドルが上昇した。しかし、米長期金利が低下したことに反応し、ドルは下落する場面もあった。
(4)米国の利上げペースが加速するとの見方を背景に米長期金利が上昇に転じ、日米金利差拡大が意識されドル買い・円売りが優勢となった。そして、ドル/円はストップロスも巻き込み、一時112.18まで上昇し、1/10以来の高値を付けた。ただ、ダウ平均株価が200ドル以上の下落となるなど主要株価が下落したことが影響し、ドル円・クロス円はその後上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
前日、米国が中国への追加制裁を発表したことを受け、貿易摩擦の激化に対する懸念が高まり、リスク回避の動きからドル円・クロス円は下落した。その後、対中関税に関する最終的な米国の決定は8/30以降の見込みとされたことから、今後の交渉次第では合意の可能性が残されているとの楽観的な見方も出ている。引き続き通商問題に関する報道や要人発言に敏感に反応する可能性があるものの、最終的決定が1ヵ月以上先であることから、反応は一時的だろう。むしろ、目先の米経済や米企業決算の結果が材料視されるだろう。本日は、前日に続き物価関連の経済指標が発表されることから、結果に注目したい。
7/12の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
6月消費者物価指数(前年比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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2.9% | 2.8% |
前回は、市場予想と一致し、約6年ぶりの大幅上昇となった。ただ、賃金の伸びが停滞していたことから、緩やかな利上げが維持される可能性が指摘された。今回は、更なる伸びが期待されており、予想通りなら2012年1月以来の高い伸びとなる。特に、停滞する賃金の伸びが注目される。 |