前営業日トピックス
東京市場では、先週末の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円はやや上値の重い展開で始まった。新規材料に乏しい中、米中通商問題の対立が引き続き材料視され、比較的安全な資産とされる円を買ってドルを売る動きが続いた。また、日経平均株価をはじめ上海株などアジア株全般、さらに欧米株先物が軟調な動きが続いたことも円買いを助長した。欧州市場序盤にかけては、やや値を戻すなど底固い動きも見られた。
米国市場では、米中貿易摩擦激化への警戒感を背景に、ドル円・クロス円は軟調となる中、欧米株が軒並み大幅に下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。しかし、その直後に米政府高官が米経済の先行きに対し強気な見方を示したことから、ドル買い・円売りが強まり、また株価も下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は上昇した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)6/24のトルコの大統領選と議会選で、現職のエルドアン氏と与党・公正発展党(AKP)が勝利宣言を行った。エルドアン氏の勝利宣言を受けて、目先の政治的な不透明感の後退を材料に、トルコリラは比較的堅調な動きとなった。一方、産業上重要な技術が中国の手に渡ることを防ぐため、中国企業による米ハイテク企業への投資を禁じる計画と米紙が報じるなど、通商対立を背景にリスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(2)日経平均株価の下げ幅拡大が続いたこともあり、円買いが続いた。ただ、下げが一服したことや、欧州勢が円売り先行させたこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
(3)米新築住宅販売件数が市場予想を上回る結果となったものの、米貿易摩擦に対する懸念を背景に、欧米の主要株価が大きく下落したことが影響し、反応は限定的だった。そして、米長期金利の低下も加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなり、ドル/円は2週間ぶりの安値を付けた。
(4)米ナバロ国家通商会議(NTC)委員長が「米経済は強気、4%成長を想定」、「本日の市場の下げは行き過ぎ」と強気な見方を示したことからドル買い・円売りが強まり、また米主要株価が下げ幅を縮小したことも影響し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
本日のトピックス
先週末から、ユーロはドルや円に対して堅調な動きが続いているものの、イタリアやドイツの政局不安が再燃していることから、やや上値の重い動きも考えられる。ただ、6/28から始まるEU首脳会議が注目されており、様子見ムードが強まる可能性も考えられる。
米国市場では、米中貿易摩擦の動向をにらみながら神経質な値動きが予想される。その中で、米国の主要な経済指標の発表が連日続き、本日は消費者信頼感指数の発表が予定されている。このところ、米経済指標の良好な結果にはやや反応は限定的だが、冴えない結果の場合には影響が出るケースもある。米貿易摩擦に対する懸念が燻っていることが背景にあると考えられる。冴えない結果の場合にはやや注意したい。マーケットでは、米経済の先行き対する懸念も一部であることから、昨晩のように米国家通商会議(NTC)委員長から牽制的な発言が出ることも考えられる。一時的に大きく反応する可能性もあることから、引き続き要人発言にも注意したい。
6/26の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
6月リッチモンド連銀製造業指数
リッチモンド連銀製造業指数は、米国の12連邦準備銀行の1つであるリッチモンド地区連銀が発表している製造業指数。1993年から算出が開始されており、NY連銀、フィラデルフィア連銀が発表する指数と合わせて製造業の景況を確認できる。管轄はウェストバージニア州、サウスカロライナ州、ノースカロライナ州、バージニア州、メリーランド州、ワシントンDCなど。管轄地域は米国内生産の9.1%を占める。
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15 | 16 |
前回は、市場予想を上回り、4月に付けた2016年9月以来のマイナスから改善した。今回は、前回から若干の低下が予想されている。先に発表されたNY連銀指数が予想を上回る結果となったが、フィラデルフィア、ダラス連銀指数が予想以上の大幅な低下となったことから予想が難しく、一部では予想外の結果に対する警戒感も高まっている。 | ||||
23:00 | 米国 |
6月消費者信頼感指数
消費者信頼感指数は、米国のCB(Conference-Board=コンファレンスボード「全米産業審議委員会」)という民間の調査機関が発表する消費者マインドを指数化したもの。5,000人の消費者にアンケート調査を行い、現在と半年後の景況感、雇用、所得の項目で回答した結果を指数化している。
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128.0 | 128.0 |
前回は、市場予想と一致し、3?月ぶりに上昇となった。現況指数、期待指数ともに前回から上昇となり、特に現況指数は2001年3月以来の高水準となり、全体を押し上げた。今回は横ばいが予想されているが、現況指数、期待指数の結果に注目したい。 |
気まぐれ投資コラム
円は買い越しから売り越しに転じる
CFTC(米商品先物取引委員会)のデータでは、IMM通貨先物の投機部門(6/19までの週)取組では、ドルは主要6通貨(円、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル)に対して2017年7月以来の買い越しに転じました。
ドルの買い越し額は86億4000万ドル(前週は74億2000万ドルの売り越し)で、昨年5/16までの週以来の大きさとなりました。また、10通貨に対する買い越し額103億8000万ドル(前週は71億ドルの売り越し)となり、5月中旬以来の大幅な買い越しとなりました。
ユーロの買い越しは3万6118枚(前週の8万8225枚)と大幅に減少、ここまで9週連続の減少となり、昨年5月以来の低水準となりました。円は5052枚の買い越しから3万5562枚の売り越しに転じています。また、豪ドルの売り越しは前週の1万5235枚から4万3099枚に急増となり、2015年12月以来の高水準、ポンドは1万0969枚の買い越しから1万9206枚の売り越しに転じています。
※出所:CFTCデータを基にSBILMが作成
※出所:CFTCデータを基にSBILMが作成