前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて、序盤から小動きの展開となった。しかし、トランプ米大統領が中国製品への追加関税措置を米通商代表部に指示したことを明らかにしたことや、これに中国が対抗する姿勢を示したことから、米中貿易摩擦に対する懸念が高まり、比較的安全な資産とされる円を買う動きが優勢となった。また、日経平均株価の下落も加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ただ、その後下落が続いた米長期金利が上昇に転じたことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。そして、米国市場では、米住宅着工件数が10年ぶり高水準となったことから、ドルは堅調な動きとなる場面もあったが、上値は限定的となった。その後は、米長期金利の上昇や、株価が下げ幅を縮小したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)新規材料に乏しい中、序盤は小動きの展開となった。そして、トランプ米大統領が中国に関して一段の措置取る必要、中国が再び関税を引き上げれば、さらに2000億ドル相当の中国製品への関税で対抗すると表明したことを受けて、米中貿易摩擦に対する懸念が高まり、リスク回避の動きが強まった。
(2)中国商務省が中国製品に関税をかけるとの米国の警告は市場のルールに反するとし、米国が追加的な関税リストを公表すれば質的・量的措置を講じると対抗したことから、さらにリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は一段の下げとなった。
(3)下げ一服後は底固い動きとなり、また米長期債利回りの上昇も影響し、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ただ、ユーロは、ドラギECB総裁が利上げの時期について、経済状況をじっくりと見極めて決定すると慎重な姿勢を示したため、ドルや円に対して軟調な動きとなった。
(4)トランプ米大統領が中国製品への追加関税措置の検討を指示したことが改めて材料視され、米中貿易摩擦への懸念を背景に、相対的に安全な資産とされる円を買う動きが先行した。ただ、米住宅着工件数が市場予想を上回り、2007 年7月以来10年10ヵ月ぶりの高水準となったこともあり、ドルの下値は限定的となった。そして、米長期金利の上昇、下落した株価が下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、今後の貿易問題の状況を見極めたいとの様子見ムードもあり、やや上値も限定的だった。
本日のトピックス
マーケットでは、米中貿易摩擦に関する報道や要人発言に敏感になっているが、今後の状況を見極めたいとの思惑もあり、積極的に動き難い状況でもある。そのため、貿易問題に関連する新たな報道などには注意したい。一方、週明けから続いているECBフォーラムが最終日となり、黒田日銀総裁、パウエルFRB議長、ドラギECB総裁などが参加する討論会が予定されており、各当局者の発言の内容に注目したい。
米国市場では、住宅関連の経済指標の発表が予定されているが、昨日の住宅関連の指標も予想以上の良好な結果となったものの、反応は限定的だった。マーケットの注目が貿易問題に向いていることから、本日もやや限定的な動きも考えられるが、一応注目して見ておきたい。
6/20の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
5月中古住宅販売件数
中古住宅販売件数は、所有権が移転した中古住宅の販売件数であり、米国の景気動向を見る上で重要視されている経済指標の一つである。所得やローン金利の動向に影響を受けることから、ローン金利動向やローン申請件数と関係も深い。
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553万件 | 546万件 |
前回は、市場予想を下回り3ヵ月ぶりの低水準となった。在庫不足に加えて住宅価格の上昇が消費者の購入意欲を減退させている。今回は、前回から若干の増加が予想されている。特に件数ベースでは、高水準を維持しているものの、販売価格や在庫など、今後の結果に影響する数値にも注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、持ち合いの下限ラインを下抜けているが、ここから下げが続くのか注目したい。下側には雲上限ラインが位置(本日の雲上限は109.051、21日は109.292、22日は109.469となる)しており、この近辺で下げ止まるのか、雲の中に入り込む展開となるのか、また直下の一目均衡表の基準線でサポートされて反転となるのかに注目したい。
上値のポイント
(1)110.14(本日高値)(2)110.57(前日高値)(3)110.90(重要レジスタンス)
下値のポイント
(1)109.75(基準線)(2)109.55(前日安値)(3)109.20(重要サポート)