前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを引き継ぎ、序盤から堅調な動きとなった。米長期金利が上昇したことや、FOMCで利上げが確実視されていること、また利上げペースの加速も意識され、ドル買い・円売りが優勢となり、クロス円も堅調な動きとなった。ただ、その後はFOMCの結果発表を控えて様子見ムードが強まり、小動きの展開が続いた。
FOMCの結果発表では、市場の予想通り0.25%の追加利上げが決定されたことや、2018年の利上げ予測が3回から4回に上方修正されたことを受けて、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ただ、パウエルFRB議長が、会見で賃金の伸び悩みや比較的早い時期に中立金利に達すると言及したことから、ドルの上値は抑えられた。その後、米国の中国に対する輸入関税を巡る報道を受けて再び米中貿易摩擦への懸念が意識され、終盤までドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米朝首脳会談が終了し、マーケットの注目がFOMCに移っており、追加利上げやその後の利上げペースが加速するとの観測からドル買い・円売りが先行した。また、パウエルFRB議長が、年8回すべてのFOMC後に記者会見を開くことを検討しているとの報道も、ドルの押し上げ要因となった。
(2)マーケットでは国内勢が断続的にドル買いを入れていることや、米長期金利の上昇が続いたことからドル買い・円売りが続いた。その後は、米長期金利の低下があり反落したものの、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードが強く、やや限定的な動きが続いた。
(3)米生産者物価指数が比較的堅調な結果となったものの、反応は限定的となった。FOMCの結果発表を控えて様子見ムードが出ているが、ポジション調整の動きも見られ、やや上値の重い動きが続いた。そして、FOMCでは市場の予想通り追加利上げが決定されたことに加え、2018年通年の利上げ予測が3回から4回に上方修正されたことを受けて、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。また、パウエルFRB議長が、来年1月から毎回会見を開催するとの発表したことで、利上げペースの加速の兆候と受け止められたこともドルを押し上げる要因となった。
(4)パウエルFRB議長が、賃金の伸び悩みや、比較的早い時期に中立金利に達すると指摘したことが嫌気され、ドルやや上値の重い動きとなった。その後、米国が中国製品への関税を準備中だとする報道を受けて、再び米中貿易摩擦への懸念が意識され、終盤までドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
本日のトピックス
欧州市場では、ドイツ、フランスの消費者物価指数、そしてECB理事会の結果発表が予定されており、結果が注目されている。特に、ECBの金融政策発表では、QE終了時期に関して議論されるとの見方もあり、終了時期が公表される可能性も指摘されている。また、ドラギECB総裁の会見での発言にも注目され、結果や発言内容によりユーロが大きく動く可能性が考えられる。また、米国市場では、小売売上高の発表が予定されており、個人消費が改善するのか注目される。
6/14の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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20:45 | 欧州 |
ECB理事会 金融政策発表
ユーロ圏の統一的な金融政策を担う最高意思決定機関。理事会は、総裁・副総裁を含む幹部6人と、ユーロ圏各国の中銀総裁で構成され、原則として月に2回、ドイツのフランクフルトのECB本部で定例会合を開く。会合終了後は、ECB総裁が会見を実施する(議事録は公開していない)。
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0.00% | 0.00% |
前回は、政策等が現状維持となった。そして、総裁の会見では最近の景気減速について判断する必要があるとしたことから、QE終了に関する判断が先送りされるとの見方が広がった。今回は、金利は現状維持がコンセンサスだが、最近の当局者の発言からQE終了に関する声明や発言があるのか注目される。 | ||||
21:30 | 米国 |
5月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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0.4% | 0.3% |
前回は、市場予想を下回る伸びとなったが、減税による所得増加が寄与し、幅広い分野で伸びた。また、3月の結果が上方修正され、コア売上高もまずまずの伸びとなった。今回は、前回を上回る伸びが予想されており、引き続き減税の効果が維持されると予想されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、108.11から堅調な動きが続いているが、高値111.39からの下げに対する小休止持ち合いパターンと見ることもできる。そして、110.85からの下げが5波動目の下げと考えるなら、108.11からの持ち合い下限ラインの下抜けには注意したい。下限ラインを下抜ける場合には、小休止終了となり、再び下げに転じる可能性も考えられる。本日の下限ラインは109.750、15日では109.889となり、一目均衡表の基準線も109.75となることから注目したい。
下抜けとなる場合には、一目均衡表の雲上限ライン、108.11などが重要なポイントとなるだろう。現時点で108.11を下抜けた場合の下値目標の計算値は107.57となる。一方、前日高値110.85を上抜ける動きとなるようなら、111円台を目指す展開も考えられる。
上値のポイント
(1)110.49(レジスタンス)(2)110.85(前日高値)(3)111.00(レジスタンス)
下値のポイント
(1)109.96(重要サポート)(2)109.75(基準線、持ち合い下限ライン)(3)109.50(サポート)
気まぐれ投資コラム
今回、QE終了時期を公表するのか?
前回(4/26)のECB理事会では、金利などの政策は現状維持がコンセンサスとなっていました。その中で、理事会後の定例会見でドラギECB総裁が、『最近の景気減速について判断する必要がある』と発言したことを受けて、QE終了に関する判断が先送りされるとの見方が広がり、ユーロは主要通貨に対して下落しました。その後、欧州の政治的懸念も加わり、ユーロ/円は約1ヵ月で8円以上の下落となりました。
その後、欧州の政治的懸念が一服したことや、今回の理事会で、資産買い入れの終了を議論するとのECB関係者のタカ派的発言が相次いだことから、ユーロは堅調な動きとなりました。そして、ハト派的と見られているプラートECB専務理事が、『今回の理事会では債券買い入れの年内終了を討議する』と述べたことも影響し、ユーロは一段の上昇となりました。
マーケットでは、今回の理事会で資産買い入れを終了する時期を公表する可能性があるとの見方も広がっています。さらに、ECBが四半期ごとに公表する新たな経済予測も出されることから、こちらの内容にも注目です。当初、量的緩和終了の示唆は7月まで待つとの見解が示されていた根拠が、6月の四半期経済予測であることから、注目度も増しています。
その一方、米国の利上げペースの加速に加え、欧州でも金融政策の正常化に向かうことになる場合には、新興国の資本流出懸念が高まることも予想され、新興国市場への影響を警戒する声が増える可能性も考えられることから、新興国通貨の動きにも注意が必要です。
※出所:FX総合分析チャート 日足