前営業日トピックス
東京市場では、米朝首脳会談への期待が先行して投資家のリスク選好姿勢が強まり、比較的安全な資産とされる円を売ってドルを買う動きが先行した。そして、歴史的な会談が始まったが、期待先行ですでに上昇していたことや、米長期金利が低下したことから、一旦利益確定の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。米朝首脳会談後に両首脳が文書に署名し、米大統領が『非常に包括的』な文書に署名としたが、内容が明らかにされていないことから、やや思惑が交錯する動きとなった。会見後は、調整の動きからやや上値の重い動きとなった。
海外市場では、マーケットの注目が欧米の金融政策発表に移っているが、米長期金利の動きに左右される動きとなった。ドルは、米物価関連の経済指標の結果や、FRB議長の会見が毎回実施されるとの報道を受けて堅調な動きとなった。また、米株式市場では、金融政策発表を控えて様子見ムードが強まり、小動きの展開が続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)午前10時頃から史上初の米朝首脳会談が行われたが、トランプ米大統領がツイッターに、米朝の実務者協議について『うまくいっている』と投稿したことを受けて楽観ムードが広がり、円売りが優勢となった。
(2)歴史的な握手が交わされて米朝首脳会談が始まったが、序盤に上昇が続いたことから利益確定の売りが入り、やや軟調な動きとなった。トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長は、『包括的な合意文書』に署名した。文書では、北朝鮮は『完全な非核化』に向けて努力すると約束、米朝が安定した平和体制に向けて共同で努力し、共同声明を迅速に履行するとした。ただ、値動きは限定的となった。そして、米朝首脳会談の終了を受けて、一旦利益確定の動きなどもあり、上値の重い動きが続いた。
(3)米朝首脳会談が終了したことで、マーケットの注目はFOMCやECB理事会の結果発表に移っており、利上げや金融政策変更など、やや楽観的な見方に加え、米長期金利の上昇を受けて、堅調な動きとなった。
(4)上昇が続いた米長期金利が低下したことから、円が買われ、ドル円・クロス円はやや軟調な動きとなった。下げ一服後は、米消費者物価指数の上昇が改めて好感されたことや、パウエルFRB議長がFOMCのたびに記者会見を行う可能性があるとの報道で、ドルは一段高となった。一方、EU離脱法案修正案の採決がメイ英首相の勝利に終わる公算が大きいとの報道を受けてポンドが上昇となったものの、EU離脱を巡る広範な力関係を変えるものではないとの見方から、その後は上げ幅を帳消しにする動きとなった。
本日のトピックス
英国では消費者物価指数など、物価関連の経済指標の発表が予定されており、来週の金融政策発表を控えて注目度が増している。米国では、FOMCの結果発表、パウエルFRB議長の会見が予定されており、発表までは様子見ムードが強まることも予想され、小動きの展開が続く可能性も考えられる。マーケットでは、追加利上げが確実視されており、金利先物市場での利上げ予想確率は約90%となるなど、マーケットではある程度折り込まれていることから、反応はやや限定的だろう。むしろ、今年の利上げが3回から4回へ(今回含めあと2回)上方修正される可能性もあり、その場合にはドル買いに反応する可能性もあるだろう。
6/13の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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翌3:00 | 米国 |
FOMC政策金利
FOMC(Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会)は、米国における金融政策の最高意思決定機関で、公開市場操作の方針を決定する委員会である。メンバーはFRBの議長、副議長を含7名の理事と、ニューヨーク連銀総裁、地区連邦準備銀行の総裁4名の計12名から構成されている。
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1.75%-2.00% | 1.50%-1.75% |
マーケットでは、追加利上げが確実視されており、金利先物市場での利上げ予想確率も約90%となっている。そのため、利上げ決定への反応はやや限定的となる可能性が考えられる。ただ、今後の利上げペースが上方修正される場合には敏感に反応する可能性も考えられる。 |