前営業日トピックス
トランプ米大統領が、側近の閣僚を解任したことにより、トランプ大統領の政権運営に対する不透明感が増幅したほか、日本でも森友問題を巡る安倍政権の支持率低下といった政治リスクを背景に、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。また、株式市場への影響が懸念されたこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。
米国市場では、米経済指標の堅調な結果が続いたことや、今週のFOMCで利上げが決定されるとの見方が改めて材料視され、ドルは主要通貨に対して反発した。しかし、上値が限られるなど明確な方向感が見えにくい動きが続いた。また、米NYダウは先週1週間で1.5%下落するなど不安定な状況になったこともあり、クロス円も軟調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)序盤は、米国市場の堅調な流れが一服し、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。そして、日経平均株価が下落して始まったことや、ティラーソン国務長官が解任されたこと、さらには一部メディアから更なる主要閣僚の解任・辞任の観測が報じられたほか、米保護貿易主義に対する中国やEUの報復措置を巡る思惑からリスク回避の動きが強まった。
(2)日経平均株価が先週1週間で210円(0.96%)上昇したものの、自律反発の域を出ず、軟調な値動きを印象付ける結果となった。さらに、トランプ米大統領が閣僚刷新を継続するとの憶測や、安倍政権の森友問題を巡る不透明感など、日米とも政治的に不透明な情勢がリスク回避につながり、ドル/円は3/7以来の安値を付けた。
(3)米住宅着工件数が悪化したものの、鉱工業生産指数が4ヵ月ぶりの大幅な伸びとなったことや、ミシガン大消費者信頼感指数が2004年1月以来の高水準となったこと、またJOLT求人件数が過去最高となったことを受けて、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。そして、今週のFOMCで利上げ決定が確実視されていることもドルの押し上げ要因となった。それでも週末のポジション調整の動きもあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
日米の政治リスクや米国の貿易摩擦などに対する懸念も根強く、ドル円・クロス円はやや限定的な動きとなる可能性が考えられる。米国市場では、主要な米国の経済指標の発表がなく、新規材料が少ないことも影響するだろう。ただ、本日からG20財務相・中央銀行総裁会議が予定されており、米国と中国やEUとの通商政策を巡る警戒感が高まる場合には、リスク回避の動きが意識される可能性も考えられる。