前営業日トピックス
東京市場では、トランプ米大統領がティラーソン国務長官の解任を決定したことが引き続き材料視され、政権の先行き不透明感からリスク回避の円買いが先行した。その後は、値を戻したものの、米ペンシルベニア州下院補欠選挙の行方を見極めたいとの思惑もあり、やや上値は限定的となった。また、日経平均株価が軟調な動きが続いたことも影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米国市場では、米小売売上高が市場予想を下回ったほか、トランプ米政権の保護主義的な政策で貿易摩擦が激化することへの警戒感が意識され、相対的に安全な通貨とされる円を買ってドルを売る動きが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米消費者物価指数が前月から鈍化したことや、米長期金利が低下したこと、またトランプ米大統領がティラーソン国務長官を更迭したことを受けて、ドル売りが続いており、序盤は軟調な動きとなった。その後は、森友学園決裁文書の書き換えについて、安倍首相が一切関わっていないと国会で発言したことを受けて、円が売られた。
(2)米ペンシルベニア州下院補欠選挙で、民主党候補が勝利宣言したとの報道を受けて、トランプ大統領の保護貿易主義への一段の傾倒が警戒され、ドル売り・円買いが意識され、クロス円も軟調な動きとなった。ただ、かなりの接戦であることから、結果確定を見極めたいとの思惑からやや下値は限定的となった。
(3)米国の保護主義に対する懸念、小売売上高の悪化による米経済成長の減速懸念を受けて円買いが優勢となった。また、米主要株価の下落、米国債利回りの低下も加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。終盤にかけて値を戻したものの、上値の重い動きが続いた。最近のユーロ高を巡るECB当局者の発言を受け、ユーロは軟調な動きとなった。
本日のトピックス
最近の米経済指標の冴えない結果が続いていることから、米経済の先行きに不透明感が出ている。米国の経済成長を見る上で注目されている米アトランタ連銀の「GDPナウ」予測モデルでは、1-3月の米経済成長率が1.9%(前回値2.5%)へと減速を示していることから、先行きへの懸念が高まっている。また、トランプ米政権の保護主義的な政策で貿易摩擦が激化することへの警戒感もあるため、ドルはやや上値の重い展開が予想されている。引き続き米主要株価や米長期金利の低下が続くようなら、ドル円・クロス円の下振れに警戒したい。
3/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
3月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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15.0 | 13.1 |
前回は、市場予想を下回る結果となり、4ヵ月連続の低下となった。新規受注や雇用が改善したものの、在庫などが悪化した。今回は、反動から若干の改善が予想されており、今後の製造業関連の指数の参考にされることから注目したい。 | ||||
21:30 | 米国 |
2月輸入物価指数(前月比)
輸入物価指数は、輸入時の価格を指数化したものであり、特に、他の物価関連の指標と同様に国内のインフレ動向の先行指標の一つとして注目される経済指標。ただ、輸入時ということで、原油相場や為替相場の影響を受ける傾向にある。
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0.2% | 1.0% |
前回は、市場予想を上回り、堅調な伸びとなった。石油や食品・飲料自動車などが伸びとことが押し上げ要因となった。2月は、1月に比べて原油価格の平均価格が1ドル以上下落していることから、指数に影響する可能性も考えられる。 |