前営業日トピックス
東京市場では、先週末の海外市場の流れを受けて、序盤から堅調な動きとなった。しかし、森友学園問題を巡る決裁文書の書き換えに関する報道を受けて、リスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、値を戻す動きが見られたものの、上値の重い動きが続いた。
米国市場では、先週末の米雇用統計の結果を受けて、米国の利上げペースの加速が後退したとの見方が改めて材料視され、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。また、米国の関税政策や財政赤字問題も加わり、終盤まで軟調な動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)先週末の米雇用統計など、米経済の堅調さが確認されたことや、米株価が大幅上昇となったことなどが影響し、序盤はドル買い・円売りが先行した。また、週明けで実需のドル買いも見られ、仲値公示にかけて堅調な動きとなった。
(2)森友学園問題を巡る決裁文書の書き換え報道を受けて、財務相の責任問題に発展するとの警戒感から、リスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(3)森友学園問題で、アベノミクスが後退するとの連想からリスク回避の動きが強まっていたが、麻生財務相が進退について考えていないとしたことで、やや安心感が広がり、円買い圧力が後退した。ただ、今後の展開を見極めたいとの見方も多く、やや上値は限定的となった。
(4)先週末の米雇用統計で賃金の伸びが鈍化したことから、年内の3回以上の利上げは困難との見方が広がったことや、トランプ米政権の保護主義的な通商政策に対する先行き不透明感が意識され、ドルは序盤から軟調な動きとなった。また、大型減税の影響により、米国の月次財政収支の発表で財政赤字が拡大したことも嫌気され、ドルは主要通貨に対して一段の下落となった。一方、英国のEU離脱省の政務次官が、EU離脱後の移行期間について、合意に「極めて近い」と述べたことを受けて、離脱交渉に対する楽観的な見方が広がり、ポンドは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
本日のトピックス
米国市場では、2月の消費者物価指数の発表が予定されており、注目が集まっている。先週末の米雇用統計では、賃金の伸びが鈍化したことから、利上げペースの加速期待が後退している。今回、消費者物価指数が低下するようなら、再び利上げペースに対する懸念が膨らむ可能性も考えられる。また、米国の関税問題や財政赤字の拡大など、米国のネガティブな要因があるだけに、ドル相場への影響が大きくなる可能性があり、注目したい。
3/13の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
2月消費者物価指数(前月比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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0.2% | 0.5% |
前回は、市場予想を上回り、2013年2月以来の大きな伸びとなった。エネルギーが大きく上昇したことが全体を押し上げる要因となった。今回は、前回からの低下が予想されているが、原油価格が1月の高値から8ドル以上の下落となったことから、予想以上に低い伸び幅となる可能性も一部では懸念されている。 |
気まぐれ投資コラム
マーケット参加者の円高に対する警戒感がやや和らいだ?
リスクリバーサルは、コール(買う権利)とプット(売る権利)を同時に反対売買した際の「価値の差」を示しています。プラス圏であればコール(買う権利)の価値のほうが高く、マイナス圏であればプット(売る権利)の価値のほうが高い状態を示しています。
現状の1ヵ月物のリスクリバーサルは、2月前半に付けた昨年4月以来の低水準から大きく上昇しており、当時と比較してマーケット参加者の円高への見方が薄れているということが読み取れます。ただ、依然としてマイナス圏であることから、まだ円高へのリスクに対する警戒感は残っていると思われます。リスクリバーサルの上昇に合わせてドル/円の動きが上昇するのか注目です。
リスクリバーサルは、通貨オプション戦略の一種ですが、状況の変化を受けて敏感に変動することから、将来の方向性を暗示するものではありません。ただ、マーケット参加者の心理状況を示すものとして、マーケット参加者の相場観や警戒感などを読み取る指標として参考にされています。
※出所:データを基にSBILMが作成