前営業日トピックス
東京市場では、米国市場の動きを引き継ぎ、序盤から堅調な動きとなった。その後、中国の経済指標の悪化や、日銀が超長期国債オペを減額したことを受けて、円買いが優勢となった。また、日経平均株価の下落が続き、午後には下げ幅を拡大したことも影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米国市場では、主要な経済指標が冴えない結果が続いたことや、米長期債利回りの低下が続いたことから、ドル売り・円買いが優勢となった。また、原油価格の下落などを受けて、米主要株価が大きく下落したことも影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)パウエルFRB議長による議会証言を受けて、ドル買いとなった流れを引き継ぎ、序盤のドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、月末がらみの輸出企業のドル売りなどがあり、仲値公示にかけて上値の重い動きとなった。その後、日銀が超長期国債買い入れ額を100億円減額したことを受けて円買いが強まり、ドル円・クロス円は一段の下落となった。
(2)下げ一巡後は、一時値を戻したものの、日経平均株価が下げ幅を拡大したことや、欧州主要株価が軟調な展開で始まったことが影響し、上値の重い動きが続いた。
(3)米GDP改定値が速報値から下方修正されたが、個人消費が比較的堅調だったこともあり、マーケットの反応はやや限定的だった。しかし、その後に発表されたシカゴ購買部協会景気指数、中古住宅販売仮契約が大幅低下となり、米景気に対する強気な見方がやや後退したことから、ドルは軟調な動きとなった。また、米長期金利の低下が続いたこともあり、ドル売り・円買いが優勢となった。
本日のトピックス
パウエルFRB議長の議会証言を受けて、ドル/円は堅調な動きが期待されていたものの、日銀の超長期国債オペの減額で水を差された形となった。また米経済指標が軒並み悪化したことで、米景気に対する強気な見方もやや後退し、一段の下落となった。ただ、月内の米国の利上げ決定が確実視されていることもあり、やや底固い動きも期待されている。本日は、月初であることから日経平均株価は上昇するとのアノマリーがあるが・・・
ダウ平均株価は月間ベースで11ヵ月ぶりのマイナスとなるなど、株価の下落が続くようならリスク回避の動きが強まる可能性も考えられることから、注目したい。
3/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
1月PCEデフレーター(前年比)
米国の個人消費支出は、米国の家計が消費した財やサービスを集計した経済指標。個人消費はGDPの約7割を占めることから、個人消費支出はGDPの先行指標として注目されている。特に、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCEデフレーターは、FRBがインフレ指標として重視していることから、特に注目される。
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1.7% | 1.7% |
前回は、市場予想と一致したものの、11月から低下となり、FRBの目標である2.0%から再び遠ざかった。今回は、前回から横ばいが予想されており、また注目されるコア指数も横ばいが予想されている。市場予想を上回る場合には、好感されるだろう。 | ||||
0:00 | 米国 |
2月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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58.7 | 59.1 |
前回は、市場予想を上回る結果となったものの、12月から若干低下した。生産、新規受注、雇用が低下し、特に雇用は大幅な低下となり、昨年5月以来の低水準となった。今回は、前回からの低下が予想されているが、特に前回大きく低下した雇用の結果には注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、上値の重い動きが続いているが、ここから再び堅調な動きとなるのか、下抜けて一段の下げとなるのか注目したい。現状では、105円台からの上昇途中の小休止の持ち合いパターンと見ることもできる。そうだとすると、現在4波動目の下げであり、ここで下げ止まり、5波動目の上昇に転じる場合には持ち合いの上抜けに注目したい。一方、持ち合い下限の106.38を完全に下抜ける場合には、一段の下げとなる可能性も考えられることから、注意したい。
また、一目均衡表の基準線は、9日まで現状の108.02での横ばいが続くことから、持ち合いレンジを上抜けて基準線も上抜ける展開となる場合には、上昇転換のシグナルとなることから、特に注目したい。
上値のポイントは、
(1)107.90(直近高値)(2)108.02(基準線)(3)108.86(107.90を上抜けた場合の上値目標の計算値)
下値のポイント
(1)106.38(レンジ下限)(2)106.09(サポート)(3)105.55(重要サポート)
気まぐれ投資コラム
米2年債の動きで見るマーケットの利上げ期待度
パウエルFRB議長の就任以来初めてとなる議会証言で、「自身の米経済見通しは12月以降に強まっており、当局は利上げ軌道の見直しを検討するのが妥当かもしれない」と発言したことを受けて、利上げペースの加速が意識されました。そして、マーケットでは、2018年の年内利上げ回数が3回〜4回となる可能性があるとの見方も出ています。
12月時点のFOMCメンバーの金利予測では、2018年が2.1%、2019年が2.7%だったことから、2019年末まで5回(1回の利上げが0.25%の場合)の利上げが見込まれていました。利上げの回数では、FOMCの予測では2018年が3回、2019年は2回となっていました。
現在、金利先物市場における2019年12月限は2.90%で推移しており、約6回の利上げを織り込んだ水準で推移しています。このことから、金利先物市場で見ると現時点では2018年3回、2019年3回が既定路線と言えます。3月のFOMC(3/20-21)でのメンバーの金利予想が上昇していれば、4回-3回、3回-4回との見方の裏付けとなる可能性も出てきます。
グラフは、政策金利の動向に敏感な2年債利回りとFF金利、2つの金利差を表したグラフです。現在、両金利の乖離幅が拡大しており、マーケットでの利上げ期待が高まっている状況となっています。特に、乖離幅は2010年4月以来の大きさとなっています。
※出所:データを基にSBILMが作成