前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて、序盤から堅調な動きとなった。米長期金利の上昇を受けて日米の金利差拡大観測から、ドル買い・円売りが優勢となった。また、107円台乗せとなったことから、一旦円高の流れが後退したとの見方が広がったことも、円売りの要因となった。午後に入り、日経平均株価が再びマイナス圏に下落したことや、米長期金利が低下したことが影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米国市場では、米住宅関連の経済指標が悪化したものの、FOMCの議事録公開を控えて様子見ムードが強まっていたことから、反応は限定的だった。そして、FOMC議事録を受けて、ドルは一時主要通貨に対して下落したものの、その後は米国の利上げペースの加速が意識され、上昇に転じた。一方、米主要株価は下落に転じて続落となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米長期金利の上昇で日米金利差の拡大が意識されたことから、ドルを買って円を売る動きが先行した。また、仲値公示にかけては実需のドル買いが出ていたことも押し上げ要因となった。
(2)仲値公示通過後は、やや上値の重い動きが見られたものの、通貨オプション市場が示唆する円高見通しが急速に後退しているとの見方が影響し、ドル円・クロス円は堅調な動きが続き、ドル/円は107.90まで上昇した。その後、日欧の株価下落や、米長期債利回りの低下も加わり、上値の重い動きが続いた。
(3)米FOMC議事録公開に注目が集まっており、序盤から様子見ムードが強まっていた。米住宅関連の経済指標が予想外に減少となったものの、反応は限定的となった。そして、FOMC議事録公開直後は、利上げペースの加速につながる内容ではないと受け止められ、ドルは主要通貨に対して下落した。
(4)ただ、FOMCメンバーが、米景気や物価が上向くとの見通しを強めたことが明らかとなり、今年の利上げペース加速への期待感が高まり、ドルは上昇に転じた。一方、米長期金利の指標となる10年債利回りは一時2.957%まで上昇し、2014年1月以来約4年2ヵ月ぶりの高水準となった。また政策金利の動向に敏感な2年債利回りも2.282%まで上昇し、2008年9月以来約9年5ヵ月ぶりの高水準となった。
本日のトピックス
欧州市場では、英国のGDPやECB理事会の議事要旨の公表が予定されており、結果が注目される。特に、ECB理事会後の会見で、ドラギECB総裁がユーロ高について強い牽制をしなかったことや、質疑応答で年内利上げの可能性は極めて小さいと発言したが、これに繋がる議論があったのか、個人的な見解だったのか注目したい。
米国市場では、雇用や景気関連の経済指標の発表が予定されているものの、議事録公開のイベントが終了したことから、やや注目度は低下しており、市場予想と乖離する結果でなければ反応は限定的だろう。マーケットでは、前日上昇した米国債利回りの動きや、下落した株価の動き、またドルの戻り(円売り)が続くのかに注目が集まっている。
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、目先の上値のポイントをクリアして堅調な動きが続いている。ここから一段の上昇となり、重要な上値のポイントを上抜けて110円台を目指す展開となるのか、一旦調整となるのか注目したい。
上値のポイントは
(1)107.90(直近高値) (2)108.28(重要レジスタンス) (3)108.51一目均衡表基準線
下値のポイントは
(1)107.00(サポート、戻りの38.2%押し) (2)106.73(戻しの半値押し) (3)106.55(サポート)
一目均衡表において、相場の方向性を示すとされる基準線は、明日には108.39(本日108.51)に低下し、27日は108.36、28日には108.02に低下する。上昇転換のシグナルの一つに基準線の上抜けも挙げられることから、基準線が低下して価格に近付いていることから、注目したい。なお、オシレーターのMACDでは、両線のクロスも見られるが、最近の動きから(短期間で交差を繰り返す)やや信頼性に欠けると判断されることから、参考程度にしたい。
気まぐれ投資コラム
仲値公示前後の動きに注目
仲値は、銀行などの金融機関で外貨を売買する時の基準となる対顧客向けのレートであるTTS(電信売相場)とTTB(電信買相場)の中間値です。TTSは、顧客が円貨を外貨に換える場合に適用されるレートであり、TTBは、顧客が外貨を円貨に換える場合に適用されるレートです。
インターバンク市場の取引レートを基準にして、毎朝各金融機関で決定され、毎営業日の午前10時頃(9時55分頃)に発表されます(仲値公示)。そして、仲値レートはその日一日適用されますが、仲値から1円以上の動きがあった場合には、仲値は公表停止となり、改めて仲値の決定が行われます。
仲値を基準に、輸出入企業の両替が行われることから、マーケットでも仲値公示の時間帯が注目されています。また、五・十日では、企業の商業決済が集中することから特に注目が高く、マーケットも影響を受けることが多々あります。
※出所:FX総合分析チャート 5分足