前営業日トピックス
東京市場では、トランプ米大統領の一般教書演説を控えて様子見ムードが強まる中、序盤から小動きの展開となった。その後、日銀が通告した中期債の買い入れオペが増額されたことを受けて円が売られた。また、本邦輸入勢のドル買いが見られたことも押し上げ要因となった。ただ、その後は、上値の重い動きとなった。そして、トランプ米大統領の一般教書演説も予想されていたよりも無難な内容だったことや、日経平均株価の下落を受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
海外市場では、米国債利回りの上昇や欧米の株価上昇などもあり、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。FOMCでは、政策金利となるFF金利の誘導目標が据え置きとなったが、声明が3月の利上げを期待させる内容だったものの、ほぼ織り込み済みで反応は限定的となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米大統領の一般教書演説を控えて様子見ムードも強まっており、序盤から限定的な動きとなった。日銀会合の主な意見が公表されたが、マーケットへの影響は限定的だった。日銀政策決定会合の主な意見では、ETFなどリスク資産の買い入れに対する副作用について意見が出ていた。また、市場で早期に金融緩和の修正期待が高まることは好ましくないとの認識が示された。その後、日銀が通告した国債買い入れオペで、中期債の買い入れが増額されたことを好感し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(2)注目されたトランプ米大統領の一般教書演説では、少なくとも1.5兆ドルの新たなインフラ投資法案の策定や、インフラ計画承認プロセスを1-2年に短縮すべきなどが示されたが、懸念された程保護主義的でなかったことなど、全体的に無難だったとの見方から、ドルの反応は限定的だった。そして、日経平均株価が終盤に大きく下落したことを受けて、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。また、米国債利回りが低下したことも影響した。
(3)FOMCを控えて様子見ムードが高まる中、景気やインフレの認識が上昇修正されるとの見方も出ており、米国の利上げペースの加速に期待感が高まっていることや、米国債利回りが上昇に転じたことなどが材料視され、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。FOMCでは全会一致で据え置きが決定され、米経済について「さらに緩やかに金融政策を調整することで景気は拡大する」と指摘し、3月のFOMCで追加利上げの可能性に踏み切る考えを示唆したものの、マーケットの反応はやや限定的だった。
本日のトピックス
東京市場では、新規材料に乏しいものの、月初めであることから、実需の動きが活発になる可能性も考えられる。また、前日の海外市場で、株価が上下に大きく動いたことから、昨日下落した日経平均株価の動きにも注目したい。 米国市場では、トランプ米大統領の一般教書演説や、FOMCなどのイベントが終了し、週末の米雇用統計を残すだけとなった。そのため、一服感からやや小休止となる可能性も考えられる。しかし、雇用関連を含む主要な経済指標の発表が続くことから、指標の結果次第では雇用統計に対する思惑が高まる可能性も考えられる。ただ、3月の利上げ期待が高まったことから、ジリジリ下げるという展開にはならないだろう。
2/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国 |
1月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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58.6 | 59.7 |
前回は、市場予想を上回る結果となり、3ヵ月ぶりに前月から上昇した。年間ベースでは、2004年以来の高水準となった。今回は、前回から若干の低下が予想されているものの、昨年の年間平均値の57.4を上回ることが予想されており、予想通りなら本年度も良好なスタートとなることから、前回からの低下も大きな懸念にはならないだろう。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、下値の重要なポイントだった110.20を下抜けたことで一段の下げとなり、下値目標の計算値の108.30近辺となる108.28まで下落した。その後は下げ一服となっており、ここから値を戻すのか、再び下げが継続するのか注目したい。
上値のポイントは
(1)109.50(111.48からの下落の38.2%戻し)、(2)109.77(レジスタンス)、(3)110.20(重要レジスタンス)
下値のポイントは
(1)108.28(直近安値)、(2)107.32(重要レジスタンス)、(3)106.25(ヘッド&ショルダーの下値計算値)
また、オシレーターのMACDでは、両線の乖離幅が縮小しており、加えて先行するライン(赤色)が上向き転換している。ここから乖離幅の縮小が続き、両線がクロスするようなら、一段の上昇となる可能性も考えられる。
気まぐれ投資コラム
米雇用統計の結果に注目!
前回、12月分の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を下回る結果となったことを受けて、ファーストアクションは下げとなりました。ただ、3月のFOMCでの利上げ期待が後退する程ではないとの見方からドルは値を戻しました。
今回は、非農業部門雇用者数の伸びが+18.0万人と予想されており、昨年1年間の平均が+17.1万人であることから、予想通りならまずまずの結果(前回から伸び幅が拡大)と判断されそうです。また、前回並みの+15万人程度となった場合でも、平均時給などが悪化しなければ、3月の利上げ期待を剥落させることにはならないと考えられ、前回同様の展開が予想されます。そして、金利先物市場における3月のFOMCでの利上げ予想確率は、現時点で100%で推移しており、前回発表時の81.5%を上回っています。
※出所:FX総合分析チャート 5分足
※出所:SBILMが作成