前営業日トピックス
東京市場では、日銀が大規模な金融緩和政策を修正するとの見方が引き続き材料視され、円買いが優勢となり、序盤からドル円・クロス円は軟調な動きとなった。また、日経平均株価が軟調となったことも影響した。その後、円買いが一服したものの、欧州市場では、再び円買いが加速したことや、ドル売りも加わり、ドル/円は一時111.27まで下落し、昨年11月以来の安値を付けた。
米国市場では、アジア市場から続いたドル売り・円買いの流れが一服したものの、終盤まで上値の重い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日銀の量的緩和策縮小に対する思惑を背景に、引き続き円ショート・ポジションが巻き戻されており、序盤から円買いが優勢となった。そして、年初から上昇が続いていた日経平均株価が下落したことも影響した。また、商業決済が集中する五・十日にあたり、仲値公示近辺ではドル買いが出たものの、円買いに押された。
(2)113円台で構築された投機筋の円ショート・ポジションの巻き戻しが続いているとの見方もあったが、下げが一巡後は、小動きの展開が続いた。その後、目立った材料がなかったものの、再び円買いが強まり、ストップロスを断続的に巻き込みドル円・クロス円は一段の下落となった。特に、東京市場の動きを見て、欧州勢が円買いから参入したことも影響した。
(3)中国の当局者らが、米国債の購入を減らすか停止すると勧告したとの関係者の話が報じられたことを受けて、ドルが主要通貨に対して下落した。ドル/円は、一時111.27まで下落し、昨年11/28以来の安値を付けた。
(4)アジア市場から続いたドル売り・円買いの流れが一服し、NY市場序盤はやや値を戻す動きとなった。米国の経済指標の発表があったが、反応は限定的となり、ドル円・クロス円は終盤までレンジ内の動きが続いた。
本日のトピックス
本日の外国為替市場では、やや限定的な動きが予想される。一昨日から、日銀が大規模な金融緩和政策を修正するとの思惑を材料に円買いが進んだことに加え、中国が米国債の購入を減らすか停止するとの中国関係者の発言も加わり、ドル/円は111円台まで下落した。この動きで、投機筋などの円売りポジション(特に113円台で構築されたポジションなど)もある程度巻き戻されており、一旦下げが落ち着くと考えられる。ただ、ここから一段の下げとなるようなら、さらに巻き戻しが加速する可能性も考えられることから、注意が必要だろう。(特に111.00、110.50など節目を割り込む場合は要注意)
また、米国市場では、物価や雇用関連の主要な経済指標の発表が予定されているものの、明日の米消費者物価指数や小売売上高が特に注目されていることから、様子見ムードもあり、結果を受けた反応は限定的だろう。
1/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
22:30 | 米国 |
12月生産者物価指数(前月比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
|
0.2% | 0.4% |
前回は、市場予想を上回り、3ヵ月連続で昨年4月以来の高い伸びを維持した。原油価格の上昇で、ガソリン価格が急騰し、物価上昇の3分の2を占めたことが影響した。今回は、伸び幅の低下が予想されているが、12月の原油価格は月平均で前月から上昇していることから、予想以上の伸びとなる可能性もあるだろう。 | ||||
22:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
|
24.5万件 | 25.0万件 |
前回は、市場予想を上回り、3週連続で予想を上回る結果となった。12月1週目には22万件台まで改善したものの、その後はやや悪化が続いている。ただ、2017年はハリケーンの影響で悪化したことを除けば、22万件台から26万件台で推移していることから、それほど懸念はないだろう。今回は、前回からやや改善が見込まれている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、前日に下げ止まっていた一目均衡表の雲下限ライン(112.38)を下抜け、サポート・ポイントであった112.03も下抜けたことで、下げが加速した。次の下値のポイントは、11/27の安値110.84と考えられる。
日足ベースの一目均衡表において、基準線を下抜けてから下げが加速し、雲を下抜ける形となっている。一方、週足ベースでは、基準線が111.03に位置していることから、このポイントにも注目したい。ここは、11月下旬に2週にわたりサポートされたポイントであることから、チャート上でもインパクトのあるポイントと考えられる。
また、オシレーターのMACDでは、両線が下向きとなっており、先行するライン(赤色)がゼロ・ポイントを下抜けている。遅行するライン(青色)がゼロ・ポイントを下抜ける場合には、下げ継続のシグナルとなる。その際、両線の乖離幅が拡大するようなら下げ継続、乖離幅が縮小する場合には反転の兆しと見ることができることから、両線の動きにも注目したい。