前営業日トピックス
東京市場では、米共和党上院議員が米税制改革法案に賛成できないとしたことを材料にドルが下落した流れを引き継ぎ、序盤からドル/円は軟調な動きとなった。ただ、米上院補選の結果が明らかになるのを控えて、やや限定的な動きとなった。そして、米上院補選で民主党候補が勝利したとの報道を受けて、トランプ政権の議会運営が厳しくなるとの懸念が広がり、ドルは主要通貨に対して下落した。その後は、米FOMCで利上げが期待されていることもあり、底固い動きが続いた。
米国市場では、米消費者物価指数でコア指数が市場予想を下回ったことを受けて、ドル売りとなる場面もあったが、FOMCを控えて底固い動きとなった。そして、FOMCでは予想通り利上げが決定されたものの、インフレに懸念が示されたことなどもあり、ドルは軟調な動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米国の税制改革により、欧米間の貿易と投資が阻害される可能性があるとの懸念が示されたことや、米共和党上院議員が、税制改革法案について賛成できないとしたことが引き続き材料視され、ドルは序盤から軟調な動きとなった。序盤に発表された日本の機械受注は予想を上回る結果となったが、反応は限定的だった。
(2)米アラバマ州での上院補選の結果が明らかになるのを控えて小動きの展開が続いていたが、民主党候補が勝利との報道を受けて、上院の議席数が共和党51、民主党49となり、米政権の議会運営が厳しくなるとの懸念から、ドルが主要通貨に対して下落となり、円が買われる動きとなった。また、クロス円も下落した。
(3)下げ一巡後は、国内実需筋の買いに加え、短期筋の買い戻しなども入り、値を戻す動きとなった。ただ、米消費者物価指数やFOMCの政策発表を控えて様子見ムードも強く、もみ合いの動きが続いた。
(4)米消費者物価指数で、変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数が減速したことから、ドル売りが優勢となった。また、米アラバマ州の上院補選で民主党候補が勝利したことで、米政局の不透明感が強まったことも米国市場が開き、改めて材料視された。下げ一巡後は、FOMCでの利上げが確実視されていることもあり、底固い動きが続いた。そして、FOMCで追加利上げが決定されたものの、インフレ率について、当局の目標を短期的に下回ると指摘されたことから、利上げペースが加速しないと受け止められ、ドルは主要通貨に対して下落した。
本日のトピックス
東京市場では、豪州の雇用統計、中国の主要な経済指標の発表、午後に日本の主要な経済指標の発表が予定されており、結果に注目したい。結果を受けて、大きな動きに繋がる可能性は低いものの、株価が影響を受ければ為替市場にも波及する可能性もあるだろう。また、欧州市場では、ユーロ圏主要国の経済指標や、BOE(英中銀)、ECB(欧州中銀)の金融政策発表が予定されており、結果を受けてユーロやポンドが大きく動く可能性もあり、注意したい。そして、米国でも主要な経済指標に発表が予定されており、通常時よりも比較的注目度が高まっていることから、結果に注目したい。
12/14の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:45 | 欧州 |
ECB理事会 政策金利発表
ユーロ圏の統一的な金融政策を担う最高意思決定機関。理事会は、総裁・副総裁を含む幹部6人と、ユーロ圏各国の中銀総裁で構成され、原則として月に2回、ドイツのフランクフルトのECB本部で定例会合を開く。会合終了後は、ECB総裁が会見を実施する(議事録は公開していない)。
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10月に来年1月から資産買い入れ額を月額600億ユーロから300億ユーロに半減し、来年9月まで延長するとした。今回は、金融政策の据え置きが見込まれている。ただ、22時半頃からドラギECB総裁の定例会見が行われることから、会見での発言に注目したい。金融政策に関して言及するようなら、ユーロ相場に敏感に反応する可能性もあるだろう。 | ||||
22:30 | 米国 |
11月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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前回は、9月に大幅な伸びとなった反動で伸び幅が低下した。今回は前回から伸び幅が拡大すると予想されている。特に、感謝祭翌週の月曜日「サイバーマンデー」のネット販売額が過去最高となるなど、年末商戦の出足好調が反映されている可能性もあり、一部では予想以上の結果を期待する向きもある。 |