前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は軟調な展開で始まった。コーンNEC委員長辞任の憶測が出るなど、トランプ米政権の先行き不透明感や、スペイン東部バルセロナのテロ報道を受けて、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。また、日本や欧州の株価下落も影響した。
米国市場でも、引き続きリスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。しかし、白人至上主義者として知られたバノン米首席戦略官の解任報道を受けて、ドルは主要通貨に対して上昇となった。また、下落していた株価が一時プラス圏まで上昇する場面もあり、クロス円も堅調な動きとなった。引けにかけては、やや上値の重い動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)トランプ米政権の先行き不透明感やスペインでのテロ事件を受けて、リスク回避の動きが強まり、比較的安全な通貨とされる円を買う動きが優勢となった。
(2)実需勢のドル買いフローが散見され、仲値公示にかけてドルが押し上げられたが、上げ幅は限定的だった。また、午後には日経平均株価が下げ幅を拡大する動きとなり、1%以上の下落となったことが影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。また、欧州の主要株価も下落したことを受けて、欧州勢が円買いを先行させたことから、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。
(3)米国市場では、トランプ大統領の政権運営に対する懸念から、大型減税などの早期実現に対する不透明感が引き続き材料視され、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、ドル/円は、一時4/19以来の安値を付ける動きとなった。
(4)バノン米首席戦略官兼,上級顧問解任の報道を受けて、トランプ政権に対する懸念がやや和らぐとの見方からドルが上昇した。バノン氏は白人至上主義者として知られ、反ユダヤ主義者として非難されており、「中国との経済戦争」を遂行するため政権内闘争を宣言するなど、トランプ政権の混乱ぶりを際立たせた人物。ただ、引けにかけては、利益確定などの動きに押された。
本日のトピックス
東京市場では、先週後半に米政権の先行き不透明感や、スペインでのテロ事件を受けて、リスク回避の動きが強まった流れが一服する可能性も考えられる。また、日本の主要経済指標の発表がなく、新規材料に乏しいものの、本邦企業が夏季休暇明けでマーケットに戻ってくることから、仲値公示近辺の動きなどには注目したい。
そして、本日から米韓合同軍事演習が実施される予定となっており、先日金委員長は米国の動きを「見守る」とした。これは米韓軍事演習を意識した発言と見られており、軍事演習が実施されれば、新たな行動に出る可能性も警戒される。そのため、北朝鮮の動きには十分に注意したい。
米国市場では、主要な経済指標の発表がなく、北朝鮮情勢に問題がなかった場合には、ジャクソンホールのシンポジウムを控えて様子見ムードが強まる可能性も考えられる。