前営業日トピックス
東京市場では、日銀やECBの政策発表を控えて様子見ムードも強く、序盤から小動きの展開が続いた。その後、日経平均株価が上げ幅を拡大する動きとなったことなどを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。日銀の金融政策発表や、黒田総裁の発言内容は、マーケットの予想通りだったことから、反応は限定的だった。ただ、金融緩和が長期化するとの見方を背景に、円売りが優勢となった。
そして、ECB理事会では、市場予想通り政策の現状維持が発表され、注目されたECB総裁の会見では、経済成長について楽観的な見方を示したことなどを受けて、ユーロは主要通貨に対して上昇となった。
一方、米特別検察官が捜査の対象を拡大し、トランプ大統領や関係者のビジネスに関わるさまざまな取引について調べているとの報道を受けて、ドルは下げが加速した。下げ一巡後は、米国債利回りの上昇などを受けて下げ幅を縮小する動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日本、欧州の金融政策発表を控えて様子見ムードが強まり、序盤から小動きの展開が続いた。また、仲値公示近辺では、五十日(ごとおび)であることから、実需のフローが出たものの、影響は限定的だった。
(2)日銀の金融政策決定会合では政策の現状維持が見込まれており、日銀と主要国の中銀の政策の方向性の違いが意識され、円が売られる動きも見られた。また、日経平均株価が堅調な動きとなったことも影響した。そして、日銀が金融政策の現状維持を発表したが、すでに織り込み済みであり、反応は限定的だった。
(3)黒田総裁の会見やECB理事会の結果発表などを控えて様子見ムードが強まり、もみ合いの動きが続いた。その後、黒田総裁の会見でも大きな反応はなかったものの、金融緩和が長期化するとの見方が広がり、円を売る動きが強まった。
(4)ECB理事会では、予想通り政策の現状維持が発表されたが、ECB総裁が会見で経済成長について楽観的な見方を示したことや、テーパリングの協議を今秋に開始すると明らかにしたことを受けて、ユーロが上昇した。一方、米経済指標がまちまちの結果となったことに加え、米特別検察官がトランプ大統領のビジネスに捜査範囲を拡大するとした関係者の話が報道されたことを受けて、ドルは一段の下落となった。なお、南ア中銀が予想外の利下げを決定したことから、南ア・ランドも大きく下落した。
(5)下げ一巡後は、米国債利回りが上昇したことを受けて、ドルは下げ幅を縮小する動きとなった。また、一連の金融政策発表と総裁の会見が終了したことで、改めて金融政策の違いが意識され、円が売られる動きとなった。
本日のトピックス
本日は、内外の主要な経済指標の発表がないことに加え、今週注目された各国の金融政策発表や当局者の会見なども終了したことから、新規材料に乏しく、限定的な動きが予想される。ただ、東京市場では、昨日までイベント待ちで実需のフローも出にくかったことから、仲値公示近辺などでフローが出てくる可能性も考えられる。
米国市場では、今後の米国の金融政策に対する懸念に加えて、トランプ大統領に関する報道などもあり、やや上値の重い展開も考えられる。