前営業日トピックス
東京市場では、北朝鮮が4日発射したミサイルに関して、米政府が大陸間弾道ミサイルと判断しているとの報道を受けて、比較的安全な通貨とされる円が買われる動きが先行した。また、日経平均株価が下落したことも影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。午後に入ると、株価が上昇に転じ、プラス圏まで反発したことや、ECBが金融緩和を縮小するとの観測を背景に、ユーロが対円で上昇し、一時1年5ヵ月ぶりの高値を付ける動きとなったことを受け、ドルなども対円で堅調な動きとなった。
米国市場では、米経済指標がさえない結果となったことや、原油価格の下落が影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。そして、FOMCの議事録公開を受けて、ドルはやや乱高下する場面もあった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)昨日の北朝鮮によるミサイル発射を巡り、米国務長官と北朝鮮の金委員長の声明が報道されたことを受けて、北朝鮮をめぐるリスクが改めて意識され、円買いが優勢となった。
(2)韓国の国防相が、北朝鮮が6度目の核実験を実施する可能性が高いとの考えを示したことを受けて、一段の円買いとなった。また、日経平均株価が下げ幅を拡大したことも影響した。
(3)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を縮小したことや、米長期金利が持ち直したことを受けて、ドル円・クロス円は値を戻す動きとなった。また、欧州主要株価が堅調な動きとなったことも影響した。そして、ECBが金融緩和を縮小するのではないかとの観測を背景に、ユーロ/円は2016年2月10日以来の高値を付ける動きとなった。また、ドル円やその他のクロス円も連れ高となった。
(4)米国市場では、原油価格が1ドル以上の下落となったことや、米経済指標が予想を下回る結果となったことから、円が買われる動きとなり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(5)FOMC議事録公開を控えて小動きの展開となったが、議事録でバランスシートの縮小開始のタイミングについては意見が分かれたことが明らかになり、ドルは一時下落となったが、概ね年内開始が確実視されたとの見方が広がったことから反発した。ただ、その後原油価格が下げ幅を拡大したことや、米国債利回りが低下したことを受けて、終盤にドルは再び軟調な動きとなった。
本日のトピックス
東京市場では、日本の主要な経済指標の発表がなく、新規材料に乏しいことや、米国タイムで雇用関連の経済指標の発表が複数予定されていることから、様子見ムードが強まる可能性も考えられる。ただ、連日北朝鮮のミサイル発射問題が影響して、実需の動きも限定的だったが、落ち着きを取り戻せば、仲値公示近辺に実需のフローが活発に出てくる可能性も考えられる。
米国市場では、ADP雇用統計やチャレンジャー人員削減数、新規失業保険申請件数など、雇用関連の経済指標の発表が予定されている。また、ISM非製造業景況指数もあり、週末の雇用統計を占う意味で結果には注目したい。そして、FRB理事、副議長の発言も予定されており、発言の内容にも注目したい。
7/6の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:15 | 米国 |
6月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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+18.5万件 | +25.3万件 |
前回は、市場予想を大きく上回る結果となり、労働市場の堅調さが示された。特に、製造業や建設業関連の雇用の伸びが4月の8倍近い伸びとなった。週明けに発表された6月の製造業関連の経済指標では、雇用指数が堅調な結果となったことから、引き続き堅調な結果が維持される可能性も期待されている。 | ||||
23:00 | 米国 |
6月ISM非製造業景況指数
ISM非製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す指数。管理責任者に対するアンケートを集計した指数であり、50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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56.5 | 56.9 |
前回は、市場予想を若干下回る結果となった。景況指数や新規受注などが低下したものの、雇用指数が大きく伸び、2015年10月以来の高水準となったことで、大きな低下とはならなかった。今回は、若干の低下が予想されているが、個別の数値に注目したい。特に、雇用指数の結果に注目したい。 |