前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場まで軟調な流れが続いた反動もあり、序盤から堅調な動きとなった。また、下落して始まった日経平均株価がプラスに転じたこともあり、底固い動きとなった。ただ、英国の総選挙や米FBI前長官の公聴会、ECB理事会を控えて様子見ムードも強く、やや上値の重い動きが続いた。
その後、米国債利回りの低下を受けて、ドル売り円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。米国市場では、レンジ内のもみ合いの動きとなったが、6/8の米FBI前長官の公聴会における冒頭証言原稿が公表されたことを受けて、ドルが上昇する場面もあった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)109円前半での値頃感の買いや、短期筋のドル買戻しなどを受けて、序盤から堅調な動きとなった。仲値公示にかけては、実需筋の買いが流入したものの、通常より薄商いとなり、やや上値は限定的となった。
(2)午後に入り、日経平均株価がプラス圏まで上昇するなど、堅調な動きとなったこと受けて、ドル円・クロス円は上昇する場面もあったが、中国が適切な状況の下で米国債の保有を増やす用意があると明らかにしたとの報道を受けて、米国債利回りが低下となりドルが売られた。また、独DAX指数や仏CAC指数などの欧州の主要株価指数が安く始まったことも影響した。
(3)ECBが理事会でインフレ予測を下方修正するとの報道を受けて、ユーロがドルや円に対して下落。欧州主要株価や米株価先物が上昇したことを受けて、ドル円やユーロ以外のクロス円は堅調な動きとなった。
(4)米国市場では、内外のイベントを控えて限定的な動きとなったが、日銀が景気判断引き上げ検討との報道や、米国債利回りの上昇を受けて、ドル円も上昇する場面もあったが、その後下落するなど、売り買い交錯する動きとなった。そして、米上院特別情報委員会がコミー氏の冒頭証言原稿を公表したが、目新しい情報がなかったことを受けて、109円台後半まで上昇する動きとなった。
本日のトピックス
東京市場では、昨日の海外市場で、日銀が早ければ今月にも景気判断引き上げを検討するとの報道があったが、これに関する続報や当局者の発言がある場合には注目したい。ただ、英国の総選挙や米FBI前長官の公聴会、ECB理事会を控えて様子見ムードも強く、引き続き限定的な動きも考えられる。
欧州市場では、ECB理事会が予定されているが、フォワードガイダンスの変更などがあれば、緩和政策の出口への思惑が高まる可能性もある。また、ドラギ総裁の発言にも注目したい。
米国市場では、主要な経済指標の発表がないものの、コミーFBI前長官の公聴会が予定されており、注目が集まっている。ただ、前日公表された冒頭証言の原稿では、これまでに報道された以外の新しい情報がなかったことから、原稿に即した内容なら、トランプ政権への不安感は高まらない可能性も考えられる。
6/8の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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20:45 | 欧州 |
ECB理事会
ユーロ圏の統一的な金融政策を担う最高意思決定機関。理事会は、総裁・副総裁を含む幹部6人と、ユーロ圏各国の中銀総裁で構成され、原則として月に2回、ドイツのフランクフルトのECB本部で定例会合を開く。会合終了後は、ECB総裁が会見を実施する(議事録は公開していない)。
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今回も、金利の変更はないとの見方がコンセンサスだが、先週ECB当局者が、次回の理事会後に発表する声明で下振れリスクについて触れた部分を削除し、「リスクはおおむね均衡化している」と表明する準備があると発言したとの報道があったことから、フォワードガイダンスの変更などに注目したい。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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24.0万件 | 24.8万件 |
前回は、市場予想を上回り、4/21の週以来の高水準となった。今回も24万件台が予想されているものの、再び23万件台に改善するのか注目したい。 |