前営業日トピックス
東京市場では、欧州政治情勢の不透明感や日経平均株価の下落を背景に、安全資産とされる円を買ってドルを売る動きが優勢となった。また、ECBの大規模金融緩和が当面続くとの見方から、特にユーロが軟調な動きとなった。下げ一服後は、値頃感の買い戻しの動きも見られ値を戻す動きとなったものの、上値の重い動きが続いた。
米国市場では、米経済指標が改善したことを受けて、ドルが上昇する場面もあったが、欧米の株価下落や、原油価格の下落などが影響し、上値の重い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)ギリシャが国際債権団との合意が得られなければ、次回の支払いをしない意向であるとの報道や、イタリアが秋にも総選挙実施の可能性があるとの報道を受けて、ユーロを中心に軟調な動きとなった。また、ドラギECB総裁が、大幅な刺激策がいまだ必要な状況となっているとの考えを示したことも圧迫材料となった。
(2)仲値公示にかけては、月末の五十日(ごとおび)であることから、実需のフローが活発となり、売り買い交錯したものの、海外ファンド勢のドル売りも加わり、一段の下げとなった。また、日経平均株価が下げ幅を拡大する動きとなったことも影響した。
(3)下げ一巡後は、ショートカバーや値頃感の買い戻しが入り底固い動きとなった。また、米長期金利の持ち直しも支援材料となった。
(4)米個人所得、支出が前回から改善したことを受けて、ドルは堅調な動きとなったが、消費者信頼感指数が悪化したことや、欧米の株価が軟調な動きとなったこと、米国債利回りが低下したことも影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ユーロは、ECBが経済リスク評価を6月に上方修正する見通しとの報道を好感して、主要通貨に対して堅調な動きとなった。
本日のトピックス
東京市場では、日経平均株価の動きや、月末で引き続き実需の動きが活発となる可能性も考えられることから、仲値公示近辺の動きには注目したい。また、ファンド勢の月末のポジション調整の動きが加わる可能性もあり、予想以上の動きとなる可能性も想定しておきたい。
米国市場では、主要な経済指標の発表やベージュブックの発表が予定されており、特にベージュブックはFOMCの討議資料となり、今後の金融政策の判断材料にもなることから、表現の変化には注目したい。
5/31の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:45 | 米国 |
5月シカゴ購買部協会景気指数
シカゴ購買部協会景気指数は、シカゴ地区の製造業の景況感を指数化したものであり、50が景気の拡大・後退の判断基準となり、50を上回れば景気拡大傾向、50を下回れば景気後退傾向と判断される。
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57.0 | 58.3 |
前回は、市場予想を上回り、2015年1月以来の高水準となった。今回は、前回から低下が予想されており、ここまで発表された主要な製造業関連の指標結果の悪化が続いていることから、予想以上の低下となる可能性も想定しておきたい。 | ||||
23:00 | 米国 |
4月中古住宅販売仮契約(前月比)
中古住宅販売仮契約は、全米不動産業者協会が発表する中古住宅販売の仮契約を指数化したもの。2001年を100として表す。仮契約は通常1-2ヵ月以内に本契約に移行するため、仮契約指数は中古住宅市場の先行指数とされる。
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0.5% | -0.8% |
前回は、市場予想を上回る結果となったものの、2010年4月以来の高い伸び(5.5%)となった2月から大きく伸び幅が低下した。天候要因から前倒して仮契約が進んだ可能性が指摘されており、今回はプラスが予想されている。しかし、堅調な伸びというほどの改善とはならず、2月の大幅増の影響が残ると予想されている。 |