前営業日トピックス
東京市場のドル/円相場は、海外市場の流れを受けて、110円台後半からやや軟調な展開で始まった。前日の米国市場終盤に、イエレンFRB議長が講演で、FRBは緩やかなペースで利上げすることを計画しているとの見解を示した。発言が報じられる前には、バランスシート縮小に関するタカ派的な発言があるとの期待感もあったが、実際の発言内容はハト派寄りでドルは下落した。
また、日経平均株価が下落したことやシリア情勢の緊迫化などの懸念も強く、安全資産とされる円が買われる展開が続き、終盤には110.47円まで下落した。
NY時間になるとトランプ米大統領が中国の習近平国家主席に対し、北朝鮮問題で協力するなら、中国は対米貿易でより良い条件が得られる、また、協力しないなら中国抜きで問題を解決すると伝えたことが明らかになるとドル円相場は急落し、一時、昨年11月中旬以来、約5ヵ月ぶりの円高安水準となる109円台をつけた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1) イエレン議長はミシガン大学フォードスクールで開催されたイベントで、FRBは緩やかなペースで利上げすることを計画しているとの見解を示した。市場では、イエレン氏がタカ派的な発言をするとの思惑があったが、バランスシートの話が出てこなかったことなど発言内容がハト派寄りと捉えられた。
(2) シリアと北朝鮮をめぐるリスク回避の思惑を踏まえて米10年債利回りが一時2.335%付近に低下し、ドルの上値は重い展開が続いた。
(3) トランプ大統領はツイッターで中国の習近平国家主席に対し、北朝鮮問題で協力するなら、中国は対米貿易でより良い条件が得られる。また、協力しないなら中国抜きで問題を解決すると伝えたことを明らかにした。
(4) 米10年債入札は最高落札利回りが2.332%と発行日前利回り(WI)を上回っている。また、応札倍率も2.48倍と前回(2.66倍)を下回った。不調な入札に米国債利回りも下げ幅を縮小しており、ドル買いに繋がっている模様。
本日のトピックス
北朝鮮の核・ミサイル問題を巡り、米政府が米中首脳会談を控えた4月上旬の日米高官協議で、中国の対応によっては北朝鮮への軍事攻撃に踏み切る可能性に言及していたと一部報道が出ていた。
市場はリスク回避の雰囲気を強めており、為替市場は円買い・ドル売りの動きが強まっている。米軍は原子力空母を朝鮮半島近海に向かわせており、これに対して北朝鮮は「米国が望むいかなる戦争の形態にも、我々は対応する用意がある」と表明している。
北朝鮮は今月末にかけて相次ぐ記念日を控えており、それにあわせて核・ミサイル実験を行うようであれば一触即発の事態も想定される状況だ。
4/12の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
8:50 | 日本 |
2月機械受注(前月比) |
3.6% | -3.2% |
前回1月の機械受注は前月比3.2%減だった。鉱工業生産では在庫循環で回復軌道入りの兆候が見えていた。設備投資に波及していれば株安を抑制する可能性も。 | ||||
10:30 | 中国 |
3月生産者物価指数 |
7.5% | 7.8% |
前回2月の中国生産者物価指数(PPI)は前年同月比7.8%上昇。PPIは昨年9月に4年半ぶりに上昇に転じている。 生産者物価が上昇し、需要の高まりが商品価格を押し上げる中、中国は世界の物価見通しの引き上げにつながっている。ただ、比較対象となる前年の水準が徐々に高くなる上に、政府による抑制策が不動産市場を圧迫しているため、そうした原動力は徐々に弱まると予想されている。 |