前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が堅調な展開で始まったことを受けて、円売りが先行した。また実需のドル買い・円売りが出たことも影響した。
その後は欧米のイベントを控えて様子見ムードが強まり、狭いレンジ内の動きが続いた。米利上げ期待の高まりから、欧州勢が日米金利差の拡大などを意識したドル買いで参入したこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、ECB理事会の結果発表と総裁の会見を控え、押し上げは一時的となった。
そして、ドラギ総裁が記者会見で早期の追加緩和に否定的な姿勢を示したことからユーロ買いとなり、円が売られる動きとなったことから、ドルやその他のクロス円も堅調な動きとなった。
その後、原油価格が連日大幅下落となったことや、株価が下げ幅を拡大したことから、ドル円は一時下落する動きも見られた。引けにかけては米債券利回りの上昇もあり、再び堅調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が堅調な動きとなったことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、国内輸入企業のドル買いなども観測され、仲値公示までは堅調な動きとなった。
(2)仲値通過後はやや一服する動きとなり、株価が上げ幅を縮小する動きとなったことも影響し、上値の重い動きとなった。そして、ECB理事会の結果発表や、週末の米雇用統計を控えて様子見ムードが強まり、レンジ内のもみ合いの動きが続いた。
(3)ドル円は一時114.90円台まで上昇したものの、115円台の大台手前近辺では売り圧力が強く、また欧州株が軟調な動きとなったことも影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(4)ECBの金融政策発表では、政策金利等が据え置かれたため反応は限定的だった。ECB総裁の会見では追加緩和に否定的な姿勢が示されたため、ユーロ買いが優勢となった。そして、対円でユーロが上昇したことや、物価関連の米経済指標が予想を上回ったことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、ドル円は再び115円台手前で失速した。
(5)米10年債利回りが2014年9月18日以来の2.6%台まで上昇したことや、政策金利の動向に敏感な2年債利回りが2009年8月以来の高水準まで上昇したことを受けて、ドル買い・円売りが優勢となり、ドル円は引け間際に115.00円を付けた。
本日のトピックス
東京市場では、週末の五・十日(ごとおび)であることから、仲値公示や引け近辺では、本邦企業のフローが出てくる可能性もあり、特にドル円は動きが出る可能性も考えられることから注目したい。ただ、米雇用統計の発表を控えて様子見ムードが強まる可能性も考えられることから、レンジを抜けて方向性が出るとは考えにくい。米国市場では、事前に発表された雇用関連の経済指標が堅調な結果が続いたこともあり、米雇用統計の発表前から動き始める可能性も考えられるが、結果発表までは思惑が交錯した動きも考えられる。ADP雇用統計の結果などを受けて、雇用者数の伸びはある程度良好な結果となる可能性も予想されているが、反対の結果となった場合や、賃金の伸びにも注意したい。
3/10の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
2月非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
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20.0万人 | 22.7万人 |
前回は市場予想を上回り、4ヵ月ぶりに+20万人を上回る結果となった。今回は、事前に発表されたADP雇用統計が予想を大きく上回る結果となったことを受けて、引き続き大台維持が予想されている。特に、米国の利上げ期待が高まっていることから、結果を受けてドルが大きく動く可能性も想定しておきたい。 |