前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が上昇して始まったものの、下落に転じた流れを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。午後に入ると、日経平均株価が下げ幅を拡大する動きとなったことや、米大統領補佐官の辞任報道を受けて、リスク回避の動きが強まり、円買いが優勢となった。
その後は、イエレンFRB議長の議会証言を控えて様子見ムードも出ており、限定的な動きが続いた。そして、イエレンFRB議長が議会証言で、早期の利上げの可能性に言及したことから、ドルが主要通貨に対して上昇となり、また米債券利回りの上昇も加わり、円が売られる動きとなったことから、クロス円も堅調な動きとなった。ただ、終盤には上値の重い動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)新規材料に乏しいことや、日経平均株価が軟調な動きとなったことから、序盤から上値の重い動きとなった。また、実需のフローも限定的だったことも影響した。
(2)東芝の決算発表が遅れたことが嫌気され、日経平均が下げ幅を拡大したことや、米大統領補佐官の辞任報道を受けて、リスク回避の動きが強まり、安全資産とされる円を買う動きが優勢となった。そして、米政権の先行きの不透明感を背景に、ドルが主要通貨に対して下落した。また、ユーロ、ポンドは、経済指標の低下を受けて、対円などで下落した。
(3)イエレンFRB議長が次回利上げまで時間をかけるのは賢明ではないとの見方を示したことで、米国の早期利上げ観測が強まり、ドル買い・円売りが優勢となった。また、米長期金利が上昇したこともドル買いを後押しした。ドル/円は、114.50まで上昇し1月30日以来の高値を付ける動きとなった。また、リッチモンド連銀総裁が「次の利上げは早めに実行するべき」、「今年3回を超える利上げが必要な可能性もある」と発言したこともドルの押し上げ要因となった。
(4)議会証言の終了後は、上昇一服から上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
東京市場では、前日のイエレンFRB議長の議会証言が改めて材料視される可能性も考えられる。また、米株価が堅調な動きとなったことから、日経平均株価の上昇も想定されており、株価上昇も加われば、ドル円・クロス円は底固い動きとなる可能性も考えられる。
米国市場では、主要な経済指標の発表が続くことから、結果には注目したい。そして、米経済の堅調さが確認される場合には、ドルの押し上げ要因となるだろう。
また、イエレンFRB議長の下院での議会証言が予定されており注目したい。証言についての質疑応答で、前日の発言とは異なる微妙なニュアンスの違いで、マーケット参加者の受け取り方にも影響することがあり注意したい。
2/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
1月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査をもとに発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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0.1% | 0.6% |
前回発表は、市場予想を下回る結果となったものの、自動車部品、ガソリンスタンドで売り上げが伸びたことが影響し、前月から上昇した。今回は、前回からの低下が予想されており、前回まで堅調だった自動車部品やガソリンスタンドの売り上げが低下する場合には、予想以上の低下となる可能性も想定しておきたい。 | ||||
22:30 | 米国 |
2月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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7.0 | 6.5 |
前回は、市場予想を下回る結果となったものの、3ヵ月連続でプラスとなった。今回は前回結果を上回ると予想されており、引き続き堅調な結果が予想されている。予想通りの結果なら、米経済の回復期待が高まる可能性も考えられる。 | ||||
22:30 | 米国 |
1月消費者物価指数(前月比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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0.3% | 0.3% |
前回は、市場予想を下回る結果となったものの、5ヵ月連続のプラスとなった。原油価格が底堅い動きが続いていることが、物価上昇の一因であり、1月は12月からほぼ横ばいで推移していることから、大きな影響はないだろう。また、前年比では、一段の上昇が予想されており、予想通りの結果となるようなら、2012年3月以来の高水準となることから、前年比の結果にも注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 1時間足
ドル/円は、一目均衡表の雲近辺で底固い動きとなり、一段の上昇となった。そして、上値のポイントだった114.16を上抜けたことで一段の上昇となった。
上値のポイントは114.50、ここを上抜ける場合には(1)115.00 (2)115.37 (3)115.62がポイントとなる。一方、下値はサポートの114.16、ここを下抜ける場合には、一目均衡表の雲近辺がポイントとなるが、サポートを下抜けたことによる下値目標の計算値は113.65となることから、注目したい。