前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場で原油価格が大きく上昇したことを受けて、投資家の積極姿勢が強まった流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。そして、海外市場で付けた高値を上回る動きとなったことから、ドル円・クロス円は一段の上昇となった。ただ、その後は利益確定の売りが優勢となり、また上昇していた株価が上げ幅を縮小する動きとなったことから、軟調な動きとなった。海外市場では、再び原油価格や債券利回りが上昇したことが意識され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、米主要な経済指標が予想を上回る結果となったことを受けて、堅調な動きとなったが、終盤には利益確定の動きも見られ上値の重い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の高値を上抜けたことからドル買い円売りが加速し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、短期筋の利益確定や輸出企業のドル売りなどが出ており、仲値公示近辺にかけて軟調な動きとなった。また、上昇していた株価が上げ幅を縮小する動きとなったことも加わり、軟調な動きとなった。
(2)下げ一巡後は、引き続き原油価格や、米債券利回りの上昇を背景に、再び堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤やや上値の重い動きとなったものの、米経済指標が堅調な動きとなったことや、原油価格が51ドル台まで上昇し10月中旬以来約1ヵ月半ぶりの高値、米10年債利回りは2.49%まで上昇し2015年6月以来約1年6ヵ月ぶりの高水準となったことも影響した。
(4)欧米の株価がやや軟調な動きとなったことや、米雇用統計や、イタリアの国民投票を控えて利益確定の動きとなり、終盤まで上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
昨晩の米国市場では、ドル/円・クロス円が序盤から堅調な動きとなったものの、終盤には反落する動きとなったことから、東京市場で調整の動きが続くのか注目したい。ただ、米雇用統計の発表を控えていることもあり、下値はやや限定的だろう。12月の利上げがほぼ確実視されていることから、米雇用統計の結果が予想通りとなった場合でも上昇は限定的だろう。また、雇用者数の伸びが大きく低下しない場合も、下値は限定的と考えられる。ただ、雇用統計後は、マーケットの注目が12/4(日)のイタリアの国民投票に移る可能性も考えられる。特に、ユーロ離脱に向かうとの懸念が指摘されるなど、不安要素もあることから、米雇用統計後の動きには注目したい。
12/2の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
11月失業率
労働力人口に占める失業者の割合で16歳以上の男女が調査対象。失業中の場合、就業が可能な状態か、過去4週間以内に求職活動を行ったかどうかで失業者かどうか判断される
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4.9% | 4.9% |
前回は、市場予想と一致した。完全雇用の圏内との見方も多いことから、多少のブレでは懸念材料にはならないだろう。 | ||||
22:30 | 米国 |
11月非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
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+18.0万人 | +16.1万人 |
前回は、市場予想を下回る結果となったものの、注目されるFOMCまでは時間が空いていたことから、影響は限定的となった。今回は、前回から伸びが拡大すると予想されている。また、最近発表された米経済指標では、堅調な結果が続いていることから、予想以上の伸びとなる可能性も考えられる。 |
気まぐれ投資コラム
米雇用統計とその後のイタリアの国民投票に注目
※出所:SBILM
最近発表された米国の経済指標は、市場予想を上回る結果が続いており、特に雇用統計と関連のある指標も軒並み堅調な結果が続いていることから、一部では市場予想の中心値の18.0万人を上回り、4ヵ月ぶりの+20万人越えを予想する向きも多くなっています(エコノミスト予想全体の約20%が+20万人以上を予想)。
そして、今回発表される米雇用統計は、年内最後の発表(発表されるのは11月の統計)となり、13日-14日に行われるFOMCで利上げの期待感が高まっており、米金利先物市場で織り込まれている利上げ確率は100%となっています(0.25%に利上げ確率96%、0.50%の利上げ確率4%)。そのため、今回の雇用統計では、余程の低下とならない限り、現状の利上げ期待が後退する可能性は低いと考えられ、堅調な労働市場であることを確認するという位置付けではないでしょうか。
米大統領選後の円売り・ドル買い(約13円以上の上昇)、OPEC総会での減産決定後の原油上昇(1バレル=約7ドルの上昇)となっています。そして、米国の利上げが決定される場合には、ドルの上昇も期待されますが、ある程度織り込まれているとも考えられます。そのため、ここから更に大きく上昇するという展開にはやや懐疑的との見方も。
そして、一つの懸念として、イタリアの国民投票が上げられます。12月4日に上院の議員定数削減や権限縮小を柱とする憲法改正の是非を問う国民投票がイタリアで実施されます。レンツィ首相は、古い政治体質を変えるには憲法改正が必要と訴えていますが、反対派は首相権限の強化につながることを警戒しています。
そして、最近の複数の世論調査では、反対派が勢いを増しており、国民投票で憲法改正が否決される場合には、レンツィ首相は辞任する意向を示したとの報道も出ています。
また、そうなればユーロ離脱を支持する野党を勢いづかせる可能性も考えられ、仮に解散総選挙となり与野党逆転する場合には、ユーロ離脱へ向けた動きが加速する可能性を懸念する声も大きくなっています。
イタリアの国民投票の結果を受けて、ユーロ圏でリスク回避の動きが強まる懸念もあることから、週明けの下振れを避けるため、雇用統計の結果を見てから利益確定の動きが加速する可能性も考えられることから、雇用統計後の動きにも注目です。