前営業日トピックス
東京市場では、先週までの円売りの流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。そして、日経平均株価が下落して始まったことや、月末の本邦輸出企業のドル売りも加わり、ドル円・クロス円は、軟調な動きとなった。午後には、円買いが一巡したことや、下落した日経平均株価が下げ幅を縮小する動きとなったことを受けて、値を戻す動きとなった。米国市場では、主要な米国の経済指標の発表もなく、新規材料に乏しい中、欧米の株価下落も影響し、上値の重い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)先週までの流れが一服し、円買い戻しの動きが先行した。感謝祭休暇が終了し、投機筋による利益確定売りが先行、また日経平均株価が下落して始まったことも影響した。そして、112.50のサポートを下抜けたことから、ストップロスを巻き込み111円台前半まで下落した。
(2)値頃感の買い戻しの動きや、日経平均株価が下げ幅を縮小する動きとなったことが影響し、値を戻す動きとなった。しかし、上値の重い動きとなった。
(3)原油価格の上昇なども加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。
(4)米国市場では、主要な経済指標の発表もなく、続伸が続いた株価が軟調な動きとなったことも影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。また、米大統領選の激戦州だったウィスコンシン州での票の再集計や、OPEC総会、イタリア国民投票の動向など複数の話題が材料視され、上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
東京市場では、序盤に日本の雇用統計の発表があり、結果が株価へ影響するのか注目したい。日米の株価は前日調整となったが、調整が終了となり、再び上昇に転じるのか注目したい。米国市場では、GDPなど主要な経済指標の発表が予定されており、結果を受けて米国の利上げ期待が高まるようなら、ドルは値を戻す動きも考えられる。ただ、ほぼ利上げは織り込まれているとの見方もあることから、上値はやや限定的だろう。また、OPEC総会を控えて、関係する要人の発言や、思惑が交錯する場合には原油価格に影響し、それが株価や為替市場にも波及する可能性もあることから注意したい。
11/29の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
3Q GDP(前期比年率)
GDPは、一定期間内に米国内で生み出された財とサービスの付加価値の額を合計したもので、国内の経済規模を測るための指標の一つ。GDPの伸び率は、経済成長率を表す指標として重要視されている。そして、個人消費はGDPのおよそ7割を占めることから、構成指数の中では特に重要視されている。
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3.0% | 2.9% |
前回は、2014年3Q以来の高水準となり、低迷からの改善が示された。今回の改定値では、上方修正が予想されており、3%成長を達成できるのか注目したい。また、GDPの7割を占める個人消費は前回失速しているが、今回は上方修正が予想されており、こちらにも注目したい。 | ||||
0:00 | 米国 |
11月消費者信頼感指数
消費者信頼感指数は、米国のCB(Conference-Board=コンファレンスボード「全米産業審議委員会」)という民間の調査機関が発表する消費者マインドを指数化したもの。5,000人の消費者にアンケート調査を行い、現在と半年後の景況感、雇用、所得の項目で回答した結果を指数化している。
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101.3 | 98.6 |
前回は、市場予想を大きく下回る結果となり、7月以来の低水準となった。前回は、大統領選の投票を前にした不透明感が影響したと考えられる。今回は、選挙結果や株価上昇などがどう影響しているかを見極める材料となる。市場予想では、大台改善が予想されているが、特に先行き指数に注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 1時間足
ドル/円は、一目均衡表の雲を下抜けて軟調な動きとなっている。安値111.36から値を戻す動きとなり、113.90からの50%戻し近辺まで上昇したものの、再び軟調な動きとなっている。目先は、サポートの111.36を下抜ける動きとなるのか注目したい。ここを下抜けるようなら、一段の下げとなり、その場合の下値目標の計算値は110.85となることから注目したい。一方、レジスタンスの112.80を上抜ける場合には、一段の上昇も考えられる。
気まぐれ投資コラム
OPEC総会で減産合意はできるのか?
OPEC(石油輸出国機構)は、11/30(水)に総会を開き、9月にアルジェリアで開いた臨時総会で決定した減産合意を最終決定するのか注目されています。産油量の上限となる「生産目標」は日量計3250万〜3300万バレルですが、現在の推定生産量は日量3364万バレルとされており、目標の上限を上回っています。
臨時総会では、イランとサウジアラビアの対立が問題視されていたが、サウジが最終局面で態度を軟化し、イランに一定の譲歩を示したことで、合意が実現したとの見方も出ていました。実は、9月の臨時総会は、当初非公式会合であり、減産合意に向けた現状把握や意見収集が目的でした。しかし、減産協調に合意したこともあり、非公式会合から臨時会合に格上げされました。
今回の総会においては、減産に関しては、臨時総会でも合意していることから、それ程問題ではないと考えますが、「国別の割り当て」の調整は難航が予想されています。政情が不安定なナイジェリアやリビア、イスラム国と戦闘中のイラク、そして今年から経済制裁が解除されたイランなどが減産合意からの除外を主張しており、調整できるのかがポイントとなります。特に、イランはOPEC全体の減産には合意しているものの、自国の生産量を経済制裁前の水準まで回復させると主張しており、自国の減産には反対の姿勢を示しています。イランは、現状の369万バレルから400万バレル以上の生産量の増加を目標に掲げています。
減産協議が合意できなければ、原油価格は下落する可能性もあり、現状の生産量から判断すると、NY原油は40ドル近辺が適正との指摘もあります。一方、減産合意できたとしても、現在の生産量は「生産目標」の上限をわずかに上回る程度であり、決定直後はインパクトから一段の上昇も考えられますが、落ち着けば50ドル程度で推移するとの見方もあります。
※出所:Bloomberg