前営業日トピックス
東京市場では、新規材料に乏しい中、一旦利益を確定する動きが先行した。また、日経平均株価が下落して始まったことも影響し、ドル/円は一段の下落となった。その後は、日経平均株価がプラスに転じ、徐々に上げ幅を拡大する動きとなったことを受けて、ドル/円は堅調な動きとなった。しかし、111円台では、上値の重い動きとなったことや、欧州の主要株価が軒並み下落となったことを受けて、軟調な動きとなった。米国市場では、序盤に発表された米個人支出が市場予想を上回り、6年8ヵ月ぶりの大きな伸び率となったことを受けて、早期の追加利上げが意識され、ドル/円は堅調な動きとなった。しかし、その後に発表された米消費者信頼感指数が予想を下回ったことや、原油価格、株価が大きく下落したことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)序盤は、利益確定の円買い・ドル売りが優勢となった。また、日経平均株価が下落して始まったことから、軟調な動きとなった。その後、仲値公示近辺からの実需のドル売りや、日経平均株価が上昇に転じたことから、円売り・ドル買いが優勢となった。
(2)利益確定の円買い戻しや、欧州株価が軒並み下落したことを受けて、軟調な動きとなった。
(3)米個人支出が市場予想を上回り、2009年8月以来6年8ヵ月ぶりの大きな伸び率となったことから、早期利上げ期待も高まり、ドル買いに反応した。
(4)シカゴ購買部協会指数や米消費者信頼感指数が予想を下回る結果となったことや、原油価格が50ドル台から48ドル台に下落したこと、また欧米の株価が下落に転じたこと、米債利回りが低下したこと、そして英国民投票の世論調査で、ユーロ離脱支持が増えたことが嫌気され、リスク回避の動きが強まった。そして、円が大半の主要通貨に対して上昇する動きとなった。
本日のトピックス
東京市場では、中国の製造業・サービス業の経済指標の発表が予定されており、この結果がアジアの株式市場に影響するのか注目したい。海外市場では、昨日英国の国民投票の世論調査を受けて、大きく動きが出ていることから、調査会社の調査結果には注意したい。ただ、ユーロ圏では、ECB理事会を控えて様子見ムードも出始めており、英国国民投票以外の反応はやや限定的だろう。米国市場では、悪化が続く製造業関連の経済指標の発表が予定されており、悪化が続くようなら、早期利上げに対する期待感が後退する可能性も考えられる。また、米地区連銀報告(FOMCの資料となる)も予定されており、6月の米追加利上げの有無を見極める上で重要であることから、結果には注目したい。
6/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
5月ISM製造業景況指数
全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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50.4 | 50.8 |
前回は、市場予想を下回る結果となったものの、景気の判断基準の50は維持した。今回も低下が予想されているが、50は維持する予想となっている。ただ、ここまでに発表された5月の製造業関連の経済指標は予想に反して悪化となるケースが多いことから、基準となる50を割れたとなる場合には注意したい。特に、FOMCで利上げ期待も高まっていることから、発表後の動きには注意したい。 | ||||
翌3:00 | 米国 |
米地区連銀経済報告[ベージュブック]
米国の12の地区連銀による経済概況報告であり、前回のFOMC以降の経済情勢について、概況報告が行われる。そして、FOMCの討議資料となり、今後の金融政策の判断材料にもなる。報告書の表紙がベージュ色をしていることからベージュブックと呼ばれている。
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6月のFOMCで利上げ期待が高まっているが、米国経済の現状と先行きの見通しに期待が持てる内容なら、利上げ期待が高まる可能性もあるだろう。米国内経済の懸念の一つが、最近の製造業の悪化である。特に、製造業に関する報告には注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート日1時間足
ドル/円は、一目均衡表の雲の中の動きとなっており、ここから雲の下限を下抜けて一段の下落となるのか、雲の中に留まり、底固い動きとなるのか見極めたい。下値のポイントは、サポートの110.50、この下に雲の下限ライン(110.45)があり、ここを下抜ける場合には、軟調な動きが続く可能性も考えられる。一方、上値のポイントは、レジスタンスの110.79、ここを上抜ける場合には、雲の上限ラインを目指す展開が考えられる。オシレーターのMACDでは、両線ゼロポイントを下抜けているが、乖離幅が縮小しており、ここからクロスとなるのかにも注目したい。