前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が大きく上昇したことから、投資家のリスク志向の動きも強まり、ドル買い・円売りが先行した。しかし、新規材料に乏しい中、ECB理事会を控えていることなどから、積極的な売買が手控えられ、終盤までやや上値の重い動きが続いた。米国市場では、主要な経済指標がまちまちの結果となったことから、序盤は限定的な動きとなった。しかし、原油価格が大きく下落したことを受けて、円を買う動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一方、ECB理事会の結果発表では政策金利が据え置かれ、会見でユーロ圏経済についてやや楽観的な見通しを示したことを受けて、ユーロが堅調な動きとなる場面もあった。しかし、その後は対ドルでユーロが下落となり、対円でも大きく下落する動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が2%以上の大幅上昇となったものの、週明けからドル/円は堅調な動きが続いた反動もあり、ポジション調整の動きが優勢となった。午後に株価が上げ幅を拡大したことを受けて、円が売られる場面もあったが、上値の重い動きが続いた。
(2)欧州市場では、値を戻す動きもあったが、ECB理事会を控えて様子見ムードが強まっており、値動きは限定的となった。
(3)米新規失業保険申請件数が1973年11月24日以来、約42年5ヵ月ぶりの低水準に改善したが、フィラデルフィア連銀景況指数が予想外の悪化となるなどまちまちの結果となり、限定的な動きとなった。ただ、原油価格が急落したことから、リスク回避の動きが強まった。
(4)新規材料に乏しく、ドル円・クロス円は小動きの展開が続いた。
(5)ドラギECB総裁は、定例会見でインフレや経済について楽観的な見通しを示したことを受けて、ユーロは主要通貨に対して上昇する動きとなった。しかし、金利は現行又はそれ以下の水準が長期間続くと発言したことなどが嫌気され、一転して大きく下落する動きとなった。
本日のトピックス
東京市場や米国市場では、主要な経済指標の発表がなく、やや限定的な動きが予想される。特に、注目されたECBの金融政策発表とドラギECB総裁の会見が終了したことや、来週のFOMC、日銀の金融政策発表を控えて様子見ムードが強まる可能性も考えられる。ただ、週末であることから、ポジション調整の動きが活発になる可能性も想定しておきたい。そのため、東京市場の仲値公示近辺や、ロンドンフィキシング近辺の動きには注意したい。また、カナダの主要な経済指標の発表が予定されており、カナダドルの動きにも一応注目したい。
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート1時間足
ドル/円は、上値の重い動きが続き、一目均衡表の雲上限ライン近辺で推移している。ここから、雲の中に入り込んで下抜けとなり、一段の下落となるのか、雲上限ライン近辺で底固い動きが続くのか注目したい。下値のポイントは、サポートの109.32、雲下限ラインの109.33がポイントとなる。一方、上値のポイントは109.89となる。
気まぐれ投資コラム
NY原油、限月切り替えによるギャップを埋めるか
NY原油は、21日から限月が繰り上がり、6月限が中心限月として繰り上がりました。限月は先物になる程、時間的なプレミアムが加味されて高い傾向があります。そのため、限月切り替え時には、新旧限月のギャップが生じ、中心限月のチャートでは明確なギャップとしてよく現れます。
今回は、20日終値42.63(5月限)→ 21日始値43.97(6月限)となり、ギャップは1.34ドル。前月は39.91 → 41.59でギャップは1.68ドル。前々月は31.48 → 33.34でギャップは1.86ドルでした。
前回は切り替えによる影響で、始値で年初来高値更新となり、チャート形状では“宵の明星”となりました。そして、その後10営業日で35ドル台前半まで下落しました。今回も、中心限月上の始値で年初来の高値を更新しており、明日のチャート形状(ローソク足の足形)に注目しています。 ギャップ後に上放れるケースがある一方、ギャップを埋める動きを狙う短期筋の動きもあります。
※出所:Bloomberg