前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の堅調な流れが一服し、序盤は利益確定などの動きが先行した。しかし、日経平均株価が堅調な動きとなったことや、中国の経済指標が予想を上回る結果となったことを受けて、投資家のリスク志向も強まり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後は中国株の下げ幅拡大が嫌気され、軟調な動きが続いた。海外市場では、株価が堅調な動きとなったことから、ドル/円は比較的底固い動きとなった。そして、ECBが3つの主要な政策金利をいずれも引き下げたことを受けて、ユーロが主要通貨に対して下落し、対ユーロで上昇したドルは、円に対しても大きく上昇した。しかし、これ以上の利下げは想定しないとECB総裁が発言したことを受けて、ユーロは一転して急反発となったことや、原油価格や株価が下落に転じたことが影響して、ドル/円は大きく下落する動きとなった。ただ、終盤にはやや値を戻す動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場で上昇した反動で、序盤はやや売りが先行した。商業決済が集中する五十日(ごとおび)であり、仲値公示付近では輸入企業のドル買い・円売りが観測された。さらに、中国の経済指標が予想を上回る結果となったことや、堅調な株価動向を受けて、ドル/円は上昇となった。
(2)中国株が下げ幅を拡大する動きとなったことから、ドル円・クロス円はやや軟調な動きが続いた。
(3)ECBが利下げを発表したことから、ドルが対ユーロで大きく上昇となり、ドルは円に対しても堅調な動きとなった。また、米雇用関連の経済指標が予想以上に改善したことも押し上げ要因となった。
(4)ドラギECB総裁が「現在の見通しでは追加利下げの可能性は見込まない」と発言したことを受けて、ユーロの買い戻しが加速、一方ドルは下落に転換した。また、原油価格や株価の下落も加わり、ドル円とユーロ以外のクロス円は軟調な動きとなった。
本日のトピックス
東京市場では、前日の海外市場でのECBの政策発表や、ドラギ総裁の発言が材料視される可能性も考えられるが、ある程度動きが出た後であることから、大きな動きにはつながらないだろう。むしろ、政策発表などを受けて、欧米の株価が乱高下となり、最終的に下落となった影響が日本の株式市場にも影響するという展開だろう。また、米国市場では、輸入物価指数が発表されるが、比較的反応が小さい指標であることから、指標結果よりも株価や原油価格の動きに反応する可能性が大きいだろう。また、来週にはFOMCを控えていることから、午後には積極的な売買が手控えられる展開も考えられる。
3/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
2月輸入物価指数(前月比)
輸入時の価格を指数化したものであり、特に、他の物価関連の指標と同様に国内のインフレ動向の先行指標の一つとして注目される経済指標。ただ、輸入時ということで、原油相場や為替相場の影響を受ける傾向にある。
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-0.7% | -1.1% |
前回は、市場予想を上回ったものの、7ヵ月連続のマイナスとなり、原油安を背景にエネルギー関連の値下がりが続いたことが、全体を押し下げる要因となった。今回は、やや改善が予想されている。2月は、原油価格の下落が止まったものの、安値圏で推移していたこともあり、大きな改善は期待できず、マイナスが続くとの予想となっている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート1時間足
ドル/円は、乱高下となったが、下値は一目均衡表の雲下限近辺で下げ止まり、反発となっている。目先は、雲上限ラインに沿って上昇するのか、または雲を下抜けて一段の下げとなるのか注目したい。目先の上値のポイントは、レジスタンスの113.35、ここを完全に上抜ける場合には一段の上昇も考えられる。一方、下値のポイントは雲下限ラインとなり、雲を完全に下抜ける場合には、直近安値の112.62が次のポイントとなる