前営業日トピックス
海外市場の流れを受けて、東京市場は堅調な展開で始まった。序盤は堅調な動きとなったものの、日経平均株価が大きく下落したことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。海外市場では、欧米の株価が堅調な動きとなったことや、米FOMCで利上げが決定されるとの思惑が強まったことから、ドルが主要通貨に対して堅調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が下落して始まったものの、五・十日で実需のドル買いフローが期待されたことから、仲値公示にかけてドル/円は堅調な動きとなった。
(2)仲値公示後はフローも一巡し、日経平均株価が大きく下落したことが材料視され、円買いが優勢となった。
(3)欧米の株価が堅調な動きとなったことや、米消費者物価指数でコア指数が2012年7月以来の高水準となったことを受けて、FOMCで利上げが決まるとの見方が強まったことから、ドルが主要通貨に対して堅調な動きとなった。
本日のトピックス
海外市場で株価が大きく上昇したことから、日経平均株価の上昇も期待されており、東京市場では投資家のリスク回避の動きが和らぐ可能性も考えられる。そして、前日の米国市場では、経済指標の結果を受けて、FOMCで利上げが決定されるとの見方が強まっていることから、引き続きドルは底固い動きが続く可能性も考えられる。ただ、FOMCでの利上げ期待の高まりから、ジリ高の展開が発表直前まで続くようなら、利上げ発表でも一時的に反落となる可能性も考えられる。また、その後のイエレンFRB議長の会見にも注目が集まっており、利上げのペースに関する発言に注目したい。いずれにしても、思惑が交錯する可能性があり、発表前後の動きには特に注意したい。
12/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
11月住宅着工件数
建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
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113.5万件 | 106.0万件 |
前回は、市場予想を下回る結果となり、堅調な結果が続いた住宅市場にやや懸念の声も出た。しかし、大台の100万件を維持していることから、件数の低下は一時的で緩やかな伸びが続くと考えられ、今回再び110万件台乗せとなるのか注目される。 | ||||
22:30 | 米国 |
11月建設許可件数
住宅建設の許可申請の発行数を集計した経済指標である。そして、住宅建設は自治体に許可申請を行わなければならないため、住宅建設の先行指標となる。また、ローン金利の動向などに左右される面もあり、他の住宅関連指標同様に景気動向を見る上で重要な指標として注目されている。
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115.0万件 | 115.0万件 |
前回は、予想を上回り、7ヵ月連続で110万件を上回る結果となった。中でも一戸建ては、2007年12月以来の高水準となった。このことから、引き続き着工件数も安定的な結果が続く可能性も期待される。今回は、前回並みの結果が予想されているが、予想の範囲内の結果なら、引き続き安定的と判断されるだろう。 | ||||
23:15 | 米国 |
11月鉱工業生産
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
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-0.2% | -0.2% |
前回は、市場予想を下回り、2ヵ月連続のマイナスとなったものの、全体の75%を占める製造業の生産が3ヵ月ぶりに増加するなど、明るさも見られた。今回も、マイナスが予想されており、また改善に時間がかかる見通しとなっている。 | ||||
28:00 (翌4:00) |
米国 |
FOMC政策金利
FOMC(Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会)は、米国における金融政策の最高意思決定機関で、公開市場操作の方針を決定する委員会である。メンバーはFRBの議長、副議長を含7名の理事と、ニューヨーク連銀総裁、地区連邦準備銀行の総裁4名の計12名から構成されている。
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0.50% | 0.25% |
金利先物市場での利上げ確率は75%を超える水準で推移しており、利上げに対する期待感も高まっている。今回は、イエレンFRB議長の会見も予定されており、利上げ決定の場合には、今後の利上げのペースに、利上げ見送りなら、利上げの時期のヒントとなる発言に注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート1時間足
ユーロ/ドルは、下落局面が一服し、反転の兆しが見られる。オシレーターのMACDでは、両線の乖離幅が縮小し、クロスも間近であることから、値を戻す動きも考えられ、目先はどこまで値を戻すのか注目したい。ただし、サポートポイントを下回る動きとなる場合には、一段の下げとなる可能性も想定しておきたい。
気まぐれ投資コラム
マネー・マネジメント(2)
損失をコントロールする方法の一つにロスカット(損切り)があります。ロスカットとは、一般的に保有したポジションに対して、相場が不利な方向へ動いた場合、損失を拡大させないためにポジションを手仕舞い(決済)する方法です。そして、損失の拡大を止めるのが速いほど、元金の痛みを最小限に抑え、次の投資資金も確保できます。AとBを比較すると、ロスカット後に元本まで戻すため効率を考えると、ロスカットが速い方がより良いことがわかります。そして、Bの方では、元に戻すために投資効率100%を達成しなければなりません。そのためには時間がかかる(数回に分けるなど)場合もあり、元本を取り戻すためのトレードが続いてしまいます。トレーダーは、利益をコントロールすることはできませんが、損失をコントロールすることはできます。
※出所:FX総合分析チャート
一定のロスカットが重要ということは、多くの方が理解しています。ただ、それを常に実践しているという方が非常に少ないのです。ロスカットの実行を邪魔するのは人間の心理です。ロスカットは損失を確定させてしまうトレードであり、トレーダーにとって一番したくないトレードです。“願わくばここから戻ってくれれば”と考えてしまいます(金融機関のディーラーでも同じです)。特に、ロスカットを実行した後で相場が反転して利益を逃してしまった経験のある方、ロスカットをしなかったことで、その後の相場反転を受けて利益を得たことがある方などは躊躇してしまいます。しかし、相場の急転で想像以上の損失を出してしまうこともあるため、ある程度必要不可欠と考えられます。どこでストップロス・オーダー設定すればよいか?それは、トレーダーの運用スタイル(長期、短期、超短期)によっても違いますし、リスク容認度(どの程度の損失を認めるか)も違うため、一概には言えません(ただ、サポートやレジスタンスポイントなどのテクニカルポイントで設定するトレーダーが多いようです)。そのため、トレーダー自身で運用ルールを決めることが望ましいです。