【4日の米貿易収支に続きADP雇用統計も市場予想を下回り、市場のリスク回避志向が進む】
先週のFOMCでは、このところの米経済指標の悪化は「一過性」と言及したものの、同じ日に発表されたQ1のGDP以降の指標も市場予想を大きく下回ることが多く、米国経済の先行きに対する不安が広がった。
5月4日に発表された貿易収支に続き、昨日のADP雇用統計も市場予想を下回ったことで、先行きへの不安が強まっている。
(図1 白・・・ドル円、緑・・・米国10年債利回り、黄・・・S&P株価指数)

(出所:ブルームバーグ)
米国の金融政策変更時期が意識され、ドルの代替資産である金価格が敏感に反応する場面が確認できる。昨晩、ラガルドIMF専務理事とのパネルディスカッションで、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、「現時点で株式市場のバリュエーションが総じてかなり高くなっている」、また債券利回りについて、「(初回の利上げをきっかけに)急激に上昇する可能性がある」と述べた。
(図2 金価格)

(出所:ブルームバーグ)
市場予想を下回る米経済指標が続き、市場参加者の間でリスク回避志向が広がっている。
(図3 VIX指数)

(出所:ブルームバーグ)
5日以降、リビアで反政府勢力が原油のパイプラインを閉鎖したとの報道に加え、サウジアラビアが対米原油販売価格を値上げした事を受けて原油価格が上昇した。一部で米国の更なる原油減産と在庫減少を見越した原油買いとみられる動きが観測されたものの、昨晩米国エネルギー情報省が発表した在庫統計で、ガソリン在庫が増加したため、反落した。
(図4 WTI原油価格)

(出所:ブルームバーグ)