
出所:SBIリクイディティ・マーケット
4月20日でトランプ政権が発足してから3ヵ月が経過し、移民規制や国境管理の厳格化を推進しています。ロシアとウクライナの停戦交渉については、協議に速やかな前進が見られない場合の和平交渉の仲介中止の可能性に言及しました。さらに、米貿易赤字削減や国内製造業への回帰を目的に相次いで関税措置を発動してきました。しかし、大統領の思惑とは裏腹に先週末のNYダウ、ナスダック、S&Pは大統領就任翌日の水準と比べそれぞれ約11%/約17.5%/約12.7%下落。同時にトランプ大統領に対する各種世論調査の平均から算出する支持率も低下基調を辿っています。

- 出所:RealClearPolitics
金融政策へ介入
こうした中、トランプ大統領は、原油価格や食料品価格が下落しているとして、パウエルFRB議長に対し、早期利下げを求める発言を繰り返しているのに対し、議長は関税措置が物価に及ぼす影響などを見極めるためとして早期の利下げに慎重な姿勢を示すなど両者の対立が激しくなっています。先週末18日にはホワイトハウスで経済政策を助言する国家経済会議のハセット委員長が記者団に対し、トランプ大統領とそのチームが任期(来年5月まで)途中の議長の解任を検討していることを明らかにしました。「金融政策の対立」を理由に大統領がFRB議長を解任することになれば金融市場は大きく混乱する可能性があります。こうした対立が続いている中、5月6-7日の次回FOMCで「利下げ」を決めれば、トランプ大統領による圧力に屈したと見られるだけに、雇用統計やインフレ動向を見極めつつ、6月まで利下げは見送られることになりそうです。そのため、5月FOMCを現状維持で終えて以降、トランプ大統領の議長解任への圧力が一段と高まる可能性があり、こうした動きに対する警戒感が高まれば積極的なドル買いは手控えられると見られます。