先週末発表された米12月個人消費支出PCEデフレーターは前月比+0.3%/前年比+2.6%、エネルギーと食品を除くコアPCEデフレーターは+0.2%/+2.8%と市場予想と一致した一方、個人消費支出は前月比+0.7%と市場予想を上回りました。また、ホワイトハウスのレビット報道官が2月1日からカナダ、メキシコに25%、中国に10%の追加関税を課すと発表したほか、トランプ大統領はNY市場終盤に、EUに対しても大がかりな関税を課すことになるだろうと発言。また、1日にトランプ大統領が2月4日からカナダ、メキシコ、中国への関税賦課を発動するとした大統領令に署名。こうした動きに対し、カナダは1,550億ドル相当の米製品に25%の報復関税を課す意向を表明したほか、メキシコも対抗措置を3日に通知するとしました。また、中国商務省も強く反発し、WTOに提訴する意向を示しています。
トランプ大統領は、既存の関税に上乗せする追加関税を想定していることについて「一時的かつ短期的な混乱が生じるかもしれないが、人々は理解するだろう、さらに関税は米国を豊かにし、強くするだろう」と発言。また、EUに対しても関税を実行すると表明したほか、鉄鋼、アルミ、銅、半導体などについて、早ければ今月中旬にも関税を課す意向を示唆しています。
週明け早朝のシドニー市場では、トランプ関税によるインフレ圧力が高まるとの警戒感からドル円は一時156円05銭へ上昇した一方、ユーロドルは一時1.0139ドルへ急落する場面が見られるなどドル堅調で取引を開始しました。
さらに、カナダ労働会議(労働組合連合組織)は電力、木材、鉱物、天然ガス、石油などの対米供給を停止するよう政府に要求する中、3日にトランプ大統領はカナダ、メキシコと会談を行う予定で貿易収支の均衡と合成麻薬(フェンタニル)の流入停止が関税撤廃の条件であると述べており、会談の行方が注目されます。
2月7日発表の米1月雇用統計に向けて
先週28-29日のFOMCでは予想通り政策金利を据え置いたほか、インフレ目標への進展に関する文言が削除されたことから声明はややタカ派的と受け止められました。また、パウエル議長が会見で「政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」と述べた一方、「インフレに関する文言はシグナルではない」と述べました。それでも3日時点で3月のFOMCで2会合連続で現状維持を見込む確率は84.5%、利下げは15.5%となっています。
トランプ大統領の関税強化策によってインフレ圧力が高まると見込まれる中、相手国による報復措置なども含め、3月FOMCのみならずその後も当面の間、利下げは難しいとの観測が高まるかもしれません。こうした中、7日発表の米1月雇用統計でこうした観測を一段と裏付ける結果となるか注目されます。

※出所:SBIリクイディティ・マーケット

- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
昨年9月16日の安値(139円58銭)と12月3日の安値(148円65銭)を結んだライン(1)(現状:155円45銭)を下値支持線として日足・基準線(156円29銭)を上抜け、昨年11月15日の156円75銭、さらに1月10日の158円87銭を目指して一段高となるか注目されます。
ユーロドルはパリティー割れか?

※出所:SBIリクイディティ・マーケット
昨年9月30日の高値(1.1209ドル)と11月6日の高値(1.0937ドル)を結んだライン(1)(現状:1.0312ドル)を上値抵抗線として1.0000ドル(パリティー)割れとなる22年11月10日の安値(0.9935ドル)や22年11月3日の安値(0.9730ドル)、 さらに22年9月28日の安値(0.9535ドル)を目指して下落基調を続けるか注目されます。
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