今週14日の米7月消費者物価指数(CPI)の発表を前に、直近7月2日時点でシカゴIMM投機筋の円売りポジションが2007年6月以来最大の184,223枚まで膨らんでいましたが、最新8月6日時点では2021年3月以来最小の11,354枚まで急速に減少していることが確認されました。円キャリートレード絡みの円買い戻しが一巡したことからドル円の下値支援につながる一因となっています。そのため、今週の米7月CPIをはじめ一連の指標が大幅なインフレ鈍化や米経済の減速懸念を高めることにならなければ日米金利差縮小の思惑を背景にして円買いも限られると思われます。
7月11日の前回6月CPI発表を控えた欧州市場序盤でドル円は161円76銭まで上昇しましたが、CPIの鈍化の発表をきっかけにそれまで積み上がっていた円売りポジションの解消に伴うドル売りが加速する中、本邦通貨当局による円買い介入も観測され157円44銭へ急落。それ以降、日米金融政策会合などを経て8月5日の141円70銭まで下落したきっかけとなっただけに今回のCPIが注目されることになります。

※出所:SBIリクイディティ・マーケット
米CPI

※出所:SBIリクイディティ・マーケット
前月6月のCPIは総合及び変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数ともに5月から鈍化したほか、総合指数は前月比で-0.1%と2020年5月以来およそ4年ぶりにマイナスに転じるなど、エネルギー価格の鈍化が影響する結果となりました。
また、エネルギーと食料品を除くサービス(前年比+5.1%)、物価の内、およそ3割のウエートを占める住居費も帰属家賃(+5.4%)、賃貸家賃(+5.1%)も鈍化したほか、住居費を除くサービス価格も+4.8%と6ヵ月ぶりに上昇幅が前月(+5.0)から縮小しました。
そのため、FRBのインフレ目標(前年比+2.0%)に向けた進捗が示される中、8月1日発表の7月ISM製造業景気指数が昨年11月以来の46.8へ低下市場予想を下回り4ヵ月連続で好不況の節目とされる50.0を下回りました。さらに、2日発表の7月雇用統計では失業率が4.3%へと4ヵ月連続で悪化したほか、就業者数も市場予想を下回る11.4万人増に留まったことから米経済の減速懸念とともに、9月の0.50%の利下げや年内複数回の利下げ観測が高まりました。
一方、5日発表の米7月ISM非製造業景気指数や8日発表の米新規失業保険申請件数が4週間ぶりの水準へ改善したことから米経済の減速懸念が幾分緩和されましたが、FRBが利下げに向けた検討を本格化する環境が整いつつあると言えそうです。
また、12日にはボウマンFRB理事が「インフレの上振れリスクが想定される」として利下げに慎重な姿勢を示したほか、9日にはリッチモンド連銀総裁が「広範なレイオフが差し迫っているとは見ていない」「米経済が正常化しているか、或いはFRBの一段の行動を必要とする減速しているか見極める必要がある」と早急な判断に慎重な姿勢を示しているだけに今回のCPIの結果と反応が注目されます。
CPI以外にも注目指標が多数
15日には米7月小売売上高のほか、8月ISM製造業景気指数の先行指標の一つとされるフィラデルフィア連銀製造業景気指数も発表されます。

※出所:SBIリクイディティ・マーケット

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