6月のFOMC議事要旨では、以下のような意見が複数の委員から示されました。
・インフレは高止まっているが、2%の物価目標に向けて控えめな進展が見られた
・各種労働統計は、労働市場の逼迫緩和を示唆
・利下げ正当化の確信を得るため、追加の情報を待つ必要性
また、7月2日のECBフォーラムでパウエル議長は以下の考えを明らかにしました。
・物価はディスインフレ傾向の再開を示すようになった
・予想以上に労働市場が軟化すれば行動(利下げ)のきっかけになる
米金融政策の行方
7月30-31日のFOMCを前に先週25日に発表された米4-6月期GDPは前期比年率+2.8%と1-3月期から上昇し、市場予想を上回りました。5月以降に発表された複数の指標からは米経済の減速が示唆されたものの、米経済は労働市場の底堅さが個人消費をサポートしていることが示され、GDPとして集計すると雇用の拡大や労働生産性の上昇とともにFRBの見込む潜在成長率(+1.8%)を上回っていることが確認されました。

- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
また、26日に発表された米6月個人消費支出(PCE) デフレーターは総合/コアともにほぼ市場予想通りとなったものの、短期金融市場は9月の利下げ開始の可能性をほぼ100%の確率で織り込み、年内0.75%利下げについては発表前の60%近辺から60%後半に小幅に引き上げられる結果となりました。

- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
以下に示したFF金利先物と6月FOMCで示された政策金利見通しとの間に開きがありますが、インフレの鈍化が進んでおり、9月FOMCで政策金利/インフレ見通しなどが、6月から下方修正されFF金利先物の見通しとの乖離を縮小していくか注目されます。

- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
米7月雇用統計
米6月雇用統計では非農業部門就業者数が20.6万人増と市場予想を上回ったものの、5月が速報値から5.4万人、4月が改定値から5.7万人と合わせて11.1万人下方修正されました。さらに、政府系就業者数を除く民間就業者数は13.6万人増と5月/4月(19.3万人/10.8万人)と1-3月期の20.3万人/月平均から14.6万人へと鈍化傾向にあることが明らかになりました。また、失業率も労働参加率が62.6%と5月(62.5%)から上昇したことも影響し、2021年11月以来の4.1%に上昇しました。そのほか、時間給賃金は前月比+0.3%、前年比+3.9%と市場予想に沿った結果となりましたがいずれも前月から鈍化するなど総合的に見ても労働市場の逼迫緩和を確認する結果となりました。

- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
8月2日に発表される雇用統計では雇用拡大が確認されると見込まれる一方、失業率や時間給賃金からは労働市場の逼迫緩和をあらためて確認することになると思われ、これらの資料はおそらく、31日のFOMCの資料として把握していると推察されます。前述の通り、先週発表の米4-6月期GDPやPCEコアデフレーターを受けてインフレの沈静化が確認され米経済のソフトランディング見通しを裏付ける結果となっており、FRBの金融政策はこうしたシナリオに沿って調節されると見込まれます。ただ、今回のFOMCで9月の利下げに言及することなく、今後発表されるデータを仔細に検討するとの姿勢をこれまで以上に強いトーンで強調する可能性に注意が必要です。
日米金融政策決定会合
FOMCの政策発表を前に日銀金融政策決定会合では前回会合で示唆した国債買入れ減額の具体策を決定することを受けて長期金利の上昇が見込まれます。市場では現状6兆円(月額)の買入れを向こう2年程度をかけて2〜3兆円規模減額するとの予想が大勢となっていますが、それ以上の減額の可能性もあるとの声も聞かれます。こうした減額に加え、利上げを行うとの予想もありますが、国債買入れの減額と利上げを同時に行うか懐疑的な見方もある中、利上げを見送った場合でも正常化に向けて追加利上げのタイミングを計るといったタカ派寄りの見解を示すことで過度な円安進行に歯止めをかける効果があると思われます。
いずれにしても30-31日の日米金融政策会合や2日の米7月雇用統計の結果を合わせて9月から年末に向けたドル円の方向性を占う重要なイベントになるだけに結果と反応が注目されます。
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