日本時間28日に行われた今秋の大統領選挙に向けた第1回TV討論会で、バイデン大統領のたどたどしいパフォーマンスとなったことを受けて、行われた世論調査では大統領の指揮能力に対する懸念が示される結果となりました。
2016年(クリントン‐トランプ)の大統領選では、ペンシルベニア州や中西部を中心に長年にわたり民主党(クリントン候補)を支持してきた白人労働者層の票が共和党トランプ候補に流れたことが勝利につながりましたが、2020年(バイデン‐トランプ)の選挙ではペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガンなどを民主党が共和党から奪還し勝利に結び付けました。

- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
先週末のTV討論会でバイデン大統領は雇用を著しく改善させたと強調しましたが、トランプ大統領はコロナからの回復が要因として一蹴。そのため、バイデン大統領の支持層である都市部を中心とした雇用の安定が続くことが支持回復への頼みの一つになると見られます。
5月雇用統計を振り返る

- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
5月雇用統計では就業者数が27.2万人増と市場予想を上回り、建設業(2.1万人増)を中心に製造業が2.5万人増、サービス業がヘルスケアを中心に教育・医療サービス部門(8.6万人増)、娯楽/接客部門(4.2万人増)に支えられ20.4万人増となりました。
5月の失業率を年齢別にみると、16〜24歳の若年層の失業率が9.2%と4月(8.2%)から上昇したほか、25〜54歳のいわゆるゴールデンエイジの失業率も3.3%と4月(3.2%)から上昇したことで4.0%と28ヶ月ぶりに4.0%の大台に達しました。
これらのデータは労働市場の緩やかな減速を示唆し、求人統計(JOLT)に見られた最近の求人数の減少や、米ISMによる景況感指数の雇用指数報告とも整合性が見られます。

- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
大統領選に向けたスケジュール

- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
雇用統計の重要性
第1回TV討論会でつまづいたバイデン候補に対し選挙戦撤退を求める声があがりましたが、民主党指導部や支援者は投票まで4ヵ月余りと期間が短いこと、具体的な代替案の策定が難しいことからバイデン大統領を候補とする方針を維持するよう党内に呼びかけています。一方、米CBSニュースとユーガブが討論会終了後の28日と29日に行った世論調査では、バイデン大統領が選挙に出馬するべきだと答えたのは登録済み有権者の28%に留まり、出馬すべきではないとの回答は72%に達しました。また、議会選挙でも民主党は上院選で厳しい戦いを強いられており、主導権を維持する可能性は低いとみられていますが、バイデン大統領の立場が弱まれば共和党から下院を奪還することも難しくなりそうです。
雇用統計では就業者数の堅調が続く一方、失業率が徐々に悪化することが示唆されています。就業者数の増加は移民流入によることが寄与していると見られますが、求人件数の減少が明確になっているだけに、時間差を置いていずれ就業者数の鈍化につながると見られています。6月のFOMCで示された今年の失業率見通しは4.0%と3月時点から変化はなかったものの、25年は4.2%と3月時点(4.1%)からさらなる悪化見通しへと変更されています。今後、大統領選の11月に向けて失業率がFRBの見通しを上回る悪化となれば、バイデン大統領を支持してきた若者や都市部からの支持率低下につながりかねません。これまで雇用統計はFRBの金融政策の行方を占う観点から注目されてきましたが、これからは11月の大統領選の行方を左右する可能性もあるだけにこれまで以上に雇用統計が重要視されることになります。
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