米2月雇用統計
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
先週末発表の米2月雇用統計では、就業者数が27.5万人増と市場予想(20.0万人増)を上回ったものの、1月(速報値:35.3万人増⇒22.9万人増)、12月(33.3万人増⇒29.0万人増)と直近2ヵ月合わせて16.7万人下方修正されました。
また、失業率は昨年10月と同水準の3.9%と2022年1月(4.0%)に次ぐ水準へ上昇しましたが、昨年10月に3.9%へ悪化後、11月に3.7%へ改善して以降3ヵ月連続で3.7%で推移したことから、今回も3月以降のデータを見極める必要がありそうです。
また、米労働市場が完全雇用の状態にあると見込まれる失業率(概ね4%台前半)を依然下回っている状況です。
さらに、時間給賃金は前月比+0.1%と1月(+0.5%)から鈍化したほか、前年比でも+4.3%と1月(+4.4%)から鈍化しました。しかし、週労働時間が1月から改善(増加)したため、総賃金は増加しており、今回の雇用統計の結果を受けて来週19‐20日のFOMCで政策金利を引き下げることはないと思われ、市場が見込む利上げ開始確率は5月が35%、6月が70%となっています。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
米2月消費者物価指数(12日21時30分発表)
2月29日に発表された米1月個人消費支出(PCE)コアデフレーターは前月比/前年比ともに市場予想通りの結果となり、前年比+2.8%と昨年7月の+4.3%をピークに6ヵ月連続で鈍化したのに対し、前月比では+0.4%と昨年4月以来の上昇率を記録しました。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
また、2月13日に発表された前月1月の消費者物価指数(CPI)は前月比+0.3%、前年比+3.1%、コア指数も前月比+0.4%、前年比+3.9%といずれも市場予想を上回ったこと、さらにコア指数から住宅価格を除いたスーパーコア指数も前月比+0.85%と2022年4月以来の高水準となって長期金利が上昇したことに伴い、ドル円はここまでの年初来高値となっている150円89銭まで上昇しました。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
先週末発表された2月雇用統計では民間部門の就業者数(22.3万人増)の内、教育/ヘルスケア部門で8.5万人増、レジャー関連で5.8万人増とサービス関連で64.1%を占める結果となりました。こうした結果に鑑みて、今回の米2月CPIでは以下の点が注目されます。
1) 指数全体の6割弱を占めるサービス価格の高止まりが継続するか?
2) サービス価格の6割を占める「帰属家賃」の鈍化が進んでいるか?
3) 航空運賃/医療サービス/保険などのサービス価格が上昇基調を継続するか?
為替市場の反応は?
為替市場では日銀の金融政策正常化観測が高まる中、先週7日には植田日銀総裁が「賃金と物価の好循環の強まりを確認し2%物価目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況に至れば、マイナス金利政策やイールドカーブ・コントロール(YCC)の枠組みなど様々な大規模緩和策の修正を検討していく」との発言。また、中川審議委員からも「賃金と物価の好循環が展望できる」との発言があったほか、「政府関係者が3月あるいは4月のマイナス金利解除を容認」と一部メディアが報じました。
また、組合の賃上げ要求が昨年よりも高い水準となったとの報道も円買いを強める要因となりました。加えて、前日の議会下院に続いて証言したパウエル議長が「利下げ開始に自信を持てる地点からさほど遠くない」と発言したことがドル売りにつながりました。さらに、8日には海外メディアが来週18‐19日の日銀金融政策決定会合でマイナス金利解除に傾くと報じる中で、米雇用統計での失業率の悪化や時間給賃金の鈍化を受けてドル円は一時146円49銭まで円高が進み147円07銭で先週末の取引を終えました。こうした円高の流れは週明けの東京市場でも続いており、午前10時過ぎには146円54銭へ下落するなど上値の重い値動きが続いています。
そして、12日発表の米2月CPIで来週19‐20日のFOMCに向けたデータが出揃うことになります。来週は18‐19日に日銀金融政策決定会合、19‐20日にFOMCを控え当面は神経質な値動きが続くことが予想されます。
来週の日米金融政策会合を受けて両国の金融政策を巡る方向性の違いから円高が加速し、昨年12月28日の安値(140円25銭)から2月13日の高値(150円89銭)までの上昇に対する50%戻しの水準にあたる145円57銭、さらには心理的節目とされる145円00銭を目指して円高が加速することになるのか、あるいは一旦の底入れを確認し、日足・転換線/基準線(148円66銭/148円68銭)を目指して反発に転じるか注目されます。
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