今週28日のNZ中銀政策委員会では政策金利を据え置くとの予想が優勢なものの、豪銀大手オーストラリア・ニュージーランド銀行は昨年末からのデータが一貫してインフレ圧力の上向きサプライズとなっていると指摘。その上で中銀が28日の政策委員会に続き4月にもそれぞれ0.25%利上げし、政策金利(OCR=オフィシャルキャッシュレート)は6.00%に達すると予想しています。こうした中、早朝にNZ民間の経済学者、実業家、学者から9名で構成されるシャドーボード(影の取締役会)はインフレ圧力が依然として高止まりしている状況を考慮すると金利引き下げを検討するのは時期尚早との見解を示した上で28日の会合で政策金利を現状の5.50%に据え置くよう勧告しました。先週末23日時点の金利先物市場が織り込む利上げ確率は24%程度となっていましたが、28日に向けて再度上昇するか注目されます。
前回11月の政策委員会
前回昨年11月29日の委員会ではOCRを5.50%に据え置いた上で、声明では「現在のOCRの水準が需要を抑制していると確信している」とした一方、「高水準のコアインフレ率を踏まえると、過剰な需要とインフレ圧力の継続は懸念される」とタカ派寄りとなりました。さらにインフレ圧力が予想以上に強まれば、追加利上げが必要になる可能性があると指摘。「インフレ率を目標(1.0-3.0%)に戻し、最大限の持続可能な雇用を支えるために、金利は制約的な水準をより長く維持する必要がある」としました。その後、昨年12月には中銀法を改正し、その目的から「雇用の最大化」を削除、「物価安定」のみとして物価安定に注力する方針を明らかにしています。
直近の動きからはNZ中銀はタカ派寄り声明を示唆?
1月24日に発表された昨年10‐12月期消費者物価指数は前年同期比+4.7%と2021年4‐6月期(+3.3%)以来の水準へ鈍化。昨年11月にNZ中銀は10‐12月期にインフレ率は5.0%に鈍化し、24年下期までにインフレ目標(1.0%‐3.0%)に達するとの見通しを発表していましたが、見通し以上に鈍化しました。一方、食品やアルコール、たばこの上昇や家賃が22年末に比べ+4.5%上昇した住宅や光熱費がインフレ率を押し上げた要因と指摘され、さらに「非貿易財は+5.9%と高止まりしたことが中銀の懸念材料になる」、「中銀が安心できるインフレ水準に達しておらず、利下げは当面検討されないのではないか」との指摘もありました。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
1月30日にNZ中銀主催の会議で中銀チーフエコノミストのコンウェイ氏は「最近の経済指標は、経済が減速し、インフレ率の鈍化が確認されるなど金融政策が機能していると示唆。
しかし、インフレが目標の中心値である2%に戻る前に中銀にはまだやるべきことがある」との考えを明らかにし、今週28日の政策委員会の声明で多くのことを伝えるとの意向を示しました。
2月7日に発表された昨年10‐12月期雇用統計では失業率が4.0%と前期から悪化したものの市場予想(4.2%)を下回ったほか、就業者数も前期比+0.4%/前年比+2.4%といずれも市場予想(+0.3%/+2.1%)、さらに民間部門の労働コスト指数も前期比+1.0%/前年比+3.9%とこちらも市場予想(+0.8%/+3.8%)を上回るなど労働市場の堅調を確認しています。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
2月12日にNZ議会でオアNZ中銀総裁はこうした消費者物価指数や雇用統計の結果を受けて「インフレへの取り組みは終わっていない、制約的な金融政策を維持する」との方針を表明しています。
NZDJPY
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
28日の政策委員会で利上げもしくは、据え置きながらも予想以上にタカ派的な声明となれば、23日の高値(93円45銭)を上回り、2015年1月の93円74銭、さらに2014年12月の94円04銭まで一段高となるか注目されます。また、NZ円の上昇に伴い豪ドル円も23日に2014年12月以来の99円06銭まで上昇しており、28日のNZ中銀政策委員会の前に発表される豪1月消費者物価指数の結果次第では2014年12月以来の心理的節目とされる100円台を回復する可能性もあり、合わせて注目されます。
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