先週末のNY市場
先週末12日のNY市場では、米12月卸売物価指数(PPI)が前月比-0.1%と予想外に3ヶ月連続で低下し、前年比では+1.0%と市場予想(+1.3%)を下回りました。コアも前月比横ばい、前年比+1.8%とこちらも市場予想(+0.2%/+1.9%)を下回ったことを受け、米10年債利回りが一時3.91%台へ低下したことから短期のドル買いポジションの解消が一段と進み、ドル円は144円36銭まで下落。しかし、5日発表の米12月雇用統計や11日発表の米CPIが市場予想を上回ったこともあり、短期金融市場ではFRBの3月利下げに懐疑的な見方も少なからずあり、米10年債利回りが3.98%へ上昇に転じたことから145円台を回復し144円91銭で先週末の取引を終え、週明けの東京市場では朝方の144円88銭を下値に145円23銭へ反発して以降、145円台前半での小幅な値動きが続いています。
昨年末予想された2023年の相場展望
12月31日に新年にむけたテレビ演説で中国・習近平国家主席は1月13日の台湾総統選を前に「中国による台湾統一は必然」と述べたのに対し、今回の総統選を制した与党・民主進歩党(民進党)の頼清徳候補は中国と対話の用意があるとする一方、台湾の主権と独立は台湾市民に属するとの見解を示し「中国と中華民国(台湾)は従属関係ではない。これが台湾独立の定義である」との考えを明らかにしています。台湾国立政治大学が行っている中国からの独立/統一に関する世論調査、2010年以降の意識は以下のようになっています。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
台湾総統選を前にした10日のブルームバーグ・エコノミクスの調査によると、台湾有事が発生した場合、世界のGDP損失は10%ほど失われ、米経済が中国を中心にした部品/資材などの供給問題によりGDPが約7%弱減速、また中国は西側諸国からの経済制裁による影響から17%減速すると想定されています。世界経済への影響の大きさはリーマンショックの規模に達すると見込まれます。中国経済は不動産問題の深刻な影響から厳しい経済状況が続く中、中国が軍事行動を起こし経済制裁を受けることになれば、その影響は大きいと思われます。
しかし、今回の結果を受けて中国政府報道官は「国家統一の立場は終始一貫しており、祖国統一の大業を推進する」との方針を示した上で「台湾独立と外部勢力の干渉に断固反対する」との声明を発表。現状では今回の選挙結果が中国の台湾に対する軍事的脅威を高め、世界経済の混乱を引き起こすことは無いと見られるものの、今後中国が台湾への軍事的圧力を高める可能性は残ると考えられます。
中国全人代/米大統領選(スーパーチューズデー)
3月5日から中国全国人民代表会議(全人代)が開催されます。経済対策などが議論されると思われますが、今回の台湾総統選の結果を踏まえて、あらためて統一に向けた強硬姿勢を示す可能性もあります。現在3期目の習氏が、共産党総書記として4期目も続投した場合、その任期は2032年、また今回当選した頼清徳氏が、00年以降の歴代総統と同様に2期務めれば、その任期終了も2032年となるだけに、習近平国家主席が任期終了までの統一を目指して、今後台湾海峡での軍事演習の規模をこれまで以上に拡大する懸念もあります。一方、3月5日は米大統領選の大きな山場となる全米十数州の予備選が集中する「スーパーチューズデー」で民主/共和両党の指名候補が絞られてくることになります。トランプ前大統領が共和党の指名候補として順調に票を伸ばせば、習近平政権がこれまで以上に米中の対立関係を警戒せざるを得ず、米中双方の政治イベントがより重要視されることになりそうです。
目先は米債券市場に焦点
今週は本日16日にウォラーFRB理事の講演、17日発表の米12月小売売上高、バーFRB副議長、ボウマンFRB理事に続きNY連銀ウィリアムズ総裁がそれぞれ講演。そのほか、18日には1月の米ISM製造業景気指数の先行指標の一つとして注目される1月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、さらには19日にはミシガン大発表の期待インフレ率、さらには1月30‐31日のFOMCを控えブラックアウト期間最後のFRB要人発言の場となるバーFRB副議長、サンフランシスコ連銀デイリー総裁の講演が予定されています。中でも本日16日に講演を行うウォラーFRB理事は11月28日の講演で「ディスインフレが数ヵ月以上続いてインフレ低下を確信できるなら、政策金利を引き下げ始めることができる」との発言をしたことで、12月FOMC前にFRBが利下げを検討との観測を強め、その後のドル円の下落基調を強める結果につながったことから今回も注目されます。
今週発表される米12月小売売上高をはじめ複数の経済指標やFRB幹部の発言に対する反応を受けて、日足・雲の下限(145円98銭)、さらには11月13日の高値(151円91銭)から12月28日の安値(140円25銭)までの下落に対する50.0%戻しに当たる146円08銭を回復するか、あるいは日足・基準線(143円42銭)を下抜け下落基調を強めるか注目されます。
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