今週の米欧政策金利発表を控えて
米11月雇用統計
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
先週末発表の米11月雇用統計では就業者数の伸びが19.9万人増と、市場予想(18.0万人)を上回り、10月(15.0万人)から加速したほか、失業率は3.7%と10月(3.9%)から改善。さらにFRBがインフレ指標として注目する時間給賃金(前年比)は+4.0%と速報値から下方修正された10月と同水準となりました。また、労働市場に参加していない成人は35.2万人減少するとともに労働参加率は62.8%に若干上昇したことから企業への賃上げ圧力が和らぎ、インフレ抑制に寄与すると見込まれます。全体的に米労働市場が昨年の過熱状態から徐々に落ち着きながらも力強さを保っている様子を確認する結果となりました。
雇用統計発表前の市場では、米国経済が急速に失速しているとしてFRBが来年3月にも利下げに転じると予想されていましたが、この指標はそうした見方を後退させる内容となりました。
米11月消費者物価指数
12月13日のFOMC政策発表を前に12日に米11月消費者物価指数が発表されます。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
10月は前年比+3.2%と9月(+3.7%)から大幅に縮小し、市場予想(+3.3%)を下回りました。基調的なインフレの鈍化の兆しを確認するとともに、FRBによる利上げ局面は終了したとの見方を裏付ける結果となりました。ただ、前月比で、家賃の上昇は続いたことから、11月の家賃が鈍化するかを中心にコア指数が4.0%を下回るかが注目されます。
FOMC
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
今週のFOMCではインフレおよび政策金利見通しを9月時点から引き下げられると予想されています。一方、パウエルFRB議長の会見では、追加利上げの可能性を維持すると見られるほか、利下げ時期については時期尚早として明言を避けると思われます。しかし、昨年3月から続いた金融引き締めサイクルは7月の利上げで終了したと見られ、来年半ばまでに利下げ開始を見込むことになると思われます。そのため、FRBの金融政策が“Higher for Longer”(高金利の長期化)から、“Plateau for Longer(高金利維持)”へ移行することを確認するか注目されます。
ECB理事会
11月27日の欧州議会では、「経済の短期的な見通しは依然として抑制的ながらも、インフレの一段の低下と実質所得の回復、さらには輸出需要の回復により欧州経済は向こう数年で持ち直す」との楽観的な見通しを示しました。そのため、今回のECB理事会で欧州経済の先行きについてどのような見解を示すか注目されます。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
さらに、パンデミック緊急債券購入プログラム(PEPP)の下、購入した債券の再投資終了時期について前倒しする議論についてどのような考えを明らかにするか、また、ラガルドECB総裁は、市場の来年3月の利下げ転換観測を牽制すると予想されます。
日銀金融政策決定会合
12月1日に「日銀は、年明け以降マイナス金利解除を模索する重要局面を迎える」との一部報道があったのに続き、7日の参院財政金融委員会で植田日銀総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になると思う」と発言したことから、12月18‐19日の日銀金融政策決定会合で正常化を示唆するなど何らかの動きがあると予想されています。
パルエルFRB議長、ラガルドECB総裁ともに早期利下げ観測を牽制すると想定されることに加え、来週の日銀金融政策決定会合でも正常化に向けた踏み込んだ見解が示される可能性もあります。そのため、ドル円は145円00銭を挟んで上下2円程度、ユーロ円は156円00銭を挟んで2円程度、ユーロドルは1.0700‐1.0800ドルで様子見姿勢が続く中、想定外の動きがあるか日銀政策決定会合を終えるまで神経質な値動きが続くと思われます。
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