12月の日銀政策決定会合で昨年のサプライズ円急伸の再燃があるか?
先週末12/1にパウエルFRB議長は、市場の早期利下げ観測を牽制した一方、「政策金利は景気抑制的な領域に深く入った」との見解を示すとともに、「金融引き締めの過不足のリスクが均衡しているため、慎重に行動する必要がある」などと発言。また、11月ISM製造業景気指数が前月と変わらず46.7と市場予想(47.8)を下回ったことを受け、米長期金利の低下とともにドル円は146円66銭まで下落。その後の反発も146円台後半までに留まり、日足・雲の下限(147円60銭)を回復できないまま146円82銭で取引を終えました。
また、週明け4日の東京市場では一時9/11以来の安値となる146円23銭まで下落しています。(12/4正午時点)
今週は8日の米11月雇用統計を前に複数の労働関連指標が発表されることから、結果次第でドル円は9/11以来の145円台、さらには9/1発表の8月雇用統計(就業者数は市場予想を上回ったものの、直近2ヵ月分が下方修正されたほか、失業率の悪化や時間給賃金が鈍化)を受けて下落した水準(144円45銭)を試すことになるか注目されます。
今週発表の米労働関連指標
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
今回の雇用統計は、現状維持が確実視される来週12/12‐13のFOMCを控え、結果次第では24年、25年末の政策金利見通しが9月時点から0.25%程度、あるいはそれ以上下方修正される可能性が指摘されています。現状、FF金利先物市場では来年3月会合での緩和政策への転換も織り込まれつつあり(3月利下げ確率:51.9%、1月から利下げと合わせると58.4%)こうした見通しがさらに強まるか注目されます。また、12/6発表の7‐9月期単位労働コスト(改定値)が速報値(前期比-0.8%)から一段と低下することになれば、インフレ圧力の一段の低下につながるだけに、週を通じた米雇用関連指標の結果と反応が注目されます。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
昨年12月の日銀政策会合では長期金利変動幅拡大のサプライズ!今年は?
今週明け4日の本邦債券市場では、先週末の米長期金利の低下を受けて新発10年債利回りが前日比0.045%低い0.655%へ低下。(12/4正午時点)
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
昨日4日、日銀は午前9時30分から18時00分まで外部の経済・金融分野の専門家や学者らを集めて1)金融市場 2)金融システム 3)日銀のバランスシート 4)非伝統的金融政策などについて「金融政策の多角的レビュー」に関する初のワークショップを開催しています。
また、本日5日の東京都区部の11月消費者物価指数(全国の物価指数は22日に発表)のほか、8日には日本7‐9月期GDP(改定値)が発表されます。また、今月18‐19日の日銀金融政策決定会合に向けて来週11日に10‐12月期法人企業景気予測調査や13日には日銀短観が発表されます。今回の日銀の「ワークショップ」での議論を受けてYCC撤廃観測が高まることになれば、円高進行圧力が一段と高まることも想定されます。
マイナス金利の導入によって長期金利までマイナスに低下する状況になり、年金運用などへの悪影響が懸念されたことから、長期金利低下抑止を目的にYCCを決めた経緯があるだけに、撤廃観測が高まるか注目されます。昨年22年12月の日銀政策決定会合では、長期金利の変動幅を拡大することを決定、クリスマスを控えて流動性が低下していたこともあり、ドル円は137円台半ばから130円台半ばまで7円ほどの急速な円高で反応しました。
市場では賃金上昇を確認する来年4月までは「現状維持」との見方が大勢を占めるだけに観測報道も含めて「YCC撤廃」の観測が高まれば、昨年の急速な円高が再燃する可能性に注意する必要があります。これまで、日銀ではYCC撤廃により長期金利が大きく上昇することへの警戒感が高かったものの、米長期金利の上昇が既にピークアウトし、本邦長期金利も上昇しにくい状況になっているタイミングなら「YCC撤廃」の好機かもしれません。
そのため、今週発表される一連の米労働関連指標を受けて米長期金利が一段と低下するか否か、日銀の金融政策にも影響を及ぼす可能性もあり注目されます。
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