先週末10日にミシガン大が発表した11月の消費者景況感指数は60.4と5月以来の低水準となった一方、1年先/5年先期待インフレ率は4.4%/3.2%と上昇。特に5年先は2011年3月以来の高水準へ上昇したことから米10年債利回りは一時4.65%へ上昇。また、NY市場終盤にムーディーズが米債格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げたことも米長期金利上昇の一因となりドル円は151円60銭まで上昇し、151円53銭で先週末の取引を終え、昨日13日の東京市場では151円66銭(午前11時00分現在)まで上昇しています。
今週は本日14日に発表される米10月消費者物価指数のほか、9月30日に可決・成立した「つなぎ予算」が17日に期限を迎えます。11日にジョンソン下院議長が予算案を議会に提示しましたが、共和党強硬派が支持する「歳出削減」は盛り込まれず、民主・共和両党が妥結できるか不透明感が高まっています。前述の格付け見通しの引き下げや予算審議のもつれが政府系機関閉鎖リスクを高めるとともに、米債券市場での売り(金利上昇)圧力につながると思われます。
9月消費者物価指数発表(10月12日)以降、直近1ヵ月の米主要指標及びFRB要人発言
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
10月12日に発表された9月消費者物価指数は前年比+3.7%と、市場予想(3.6%)を上回りました。また、前月比は+0.4%と市場予想(+0.3%)を上回ったものの、8月(+0.6%)から鈍化。
8月に前月比+10.6%と急上昇したガソリン価格が+2.1%と依然高水準ながら鈍化した一方、サービス価格は前月比+0.6%と8月(+0.4%)を上回るなど、サービス価格の物価上昇圧力とともにインフレ圧力の根強さを確認する結果となりました。
米10月消費者物価指数
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
9月の消費者物価指数の結果について、ウォラーFRB理事は、「これまでの利上げにより、インフレ率や賃金上昇の水準は未だ高いものの、減速傾向である」との認識を示しながらも、インフレ率についても住居費と住宅関連を除いたサービス価格が前月比で上昇したことなどに警戒を払っていました。それだけに米10月消費者物価指数の結果次第では12月FOMC(12/12-13)で再利上げ観測が高まる可能性のほか、政策金利/インフレ見通しが9月から概ね維持され、1月の再利上げ観測、もしくは利下げ時期の先送り観測が高まれば米長期金利の上昇とともに日米金利差拡大や円安が一段と加速するかもしれません。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
インフレ再燃への警戒、さらにはムーディーズが先週末に米債見通しを「ネガティブ」に引き下げたことを受けて、他の大手格付け会社が追随する可能性や「つなぎ予算」を巡る不透明感が米長期金利の高止まりにつながるかもしれません。そのため、投機筋を中心に日米金利差が縮小しないと見てさらに円キャリートレードを活発に行えば、円安が一段と進行し昨年10月の高値(151円95銭)を上抜ける可能性があります。日本の通貨当局が円買い介入に踏み切るかも合わせて今週末まで気の抜けない相場が続くと見込まれます。
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