日銀金融政策決定会合(10月30‐31日)
7月27‐28日の日銀金融政策決定会合では、物価見通しを4月時点から上方修正したほかイールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟化(±0.50%⇒±1.0%へ)を決定。
一方、フォワードガイダンスは
1)長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下、粘り強く緩和政策を継続する必要
2)経済・物価を巡る不確実性が極めて高いことから金融緩和の持続性を高めることが適当
3)長期金利の変動幅は±0.50%程度を目途とし、10年物国債金利について1.0%の利回り
で指値オペを毎営業日実施するとしました。
今回30‐31日の政策決定会合の焦点は7月同様
1)物価見通しをさらに上昇修正するか?
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
2)YCCの柔軟化を±1.0%から±1.25%もしくは±1.5%に変更、あるいは撤廃するか?
3)フォワードガイダンスを変更するか?
主な大手生保各社が23年度下期運用計画の中で示した日銀の金融政策変更時期予想は以下の通りとなっています。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
米長期金利の上昇を受け、日本の新発10年債利回りも26日に2013年7月以来の高水準となる0.885%へ上昇する場面が見られ、先週末27日は0.870%で取引を終えています。しかし、YCCの上限である1.00%に近づいていることから、バッファーを確保のため±1.25%(もしくは±1.50%)への更なる柔軟化、あるいはYCC撤廃の可能性があるかもしれません。
フォワードガイダンスは変更せず?
植田日銀総裁は今月20日の全国信用組合大会で以下の発言を行っています。
「リスク要因として、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性はきわめて高いと考えています。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要があります。
日本銀行としては、内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していく方針です。」
そのため、物価見通しの上方修正やYCCの柔軟化を決めたとしても賃金と物価上昇の好循環を見極める姿勢に変化はないとして、フォワードガイダンスの変更はないと見込まれます。また、7 月27‐28日の政策決定会合前に今回のようなYCC修正など先々の正常化は織り込まれていなかったため、会合後の金利上昇が大きくなりました。しかし、今回は物価の上昇基調が続いていることや事前の観測報道も含め、日銀は既に金融政策の正常化に向けて舵を切ったことは間違いなく、向こう1年以内には「YCC撤廃」「マイナス金利の解除」を見込んだ上で債券の運用方針を変更している可能性が高く、(日本国債の予想変動率を示す債券版「恐怖指数」は4月、7月を下回った水準で推移)大きな動揺には至らないと見込まれます。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
日銀金融政策決定会合で物価見通しの上方修正があったとしてもYCC±1.25%程度への
修正に留めた場合、円売りに反応する可能性があるかもしれません。
FOMC(10月31‐11月1日)
従来通り、今後のデータを見極める必要性に言及するとともに、12月の会合で利上げの可能性に含みを持たせるなどタカ派姿勢を継続することも想定されます。現状、今回のFOMCの据え置き確率は97.4%、12月12‐13日の据え置き確率は78.6%となっています。
また、27日にイスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区への空と陸からの攻撃を拡大。また、28日にはネタニヤフ首相が会見で、ガザに地上部隊を追加投入したとし、「戦争が新たな段階」に移ったと表明。イスラエル軍とハマスとの戦闘がレバノンやシリアなど隣国を巻き込むなど多方面に拡大する展開となれば原油価格の上昇を通じたインフレ率の上昇につながることも想定されます。
中東情勢に加え、11月17日には9月30日に可決した「つなぎ予算」の期限を迎え、下院議長に選出されたジョンソン議員はトランプ前大統領寄りでウクライナ/パレスチナ向け財政支援に反対の意向を示しており、政府系機関閉鎖の可能性も残されています。こうした不透明要因がインフレの上振れにつながる可能性もあるほか、12月13‐14日の次回FOMCに向けて複数のデータを見極める必要があると見られます。
米10月雇用統計(11月3日)
その最初の1つとして注目されるのが今週末3日に発表される米10月雇用統計です。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
9月雇用統計では就業者数が市場予想の17.0万人増に対し33.6万人増と大幅に上回ったことに加え、8月が4.0万人、7月が7.9万人それぞれ上方修正されました。一方、3.7%へ改善が予想された失業率は3.8%と前月から横這いに留まり、時間給賃金も前月比/前年比ともに市場予想を下回ったことから発表直後に4.88%台へ上昇した10年債利回りは4.74%台へ低下する中、ドル円は149円05銭近辺から149円53銭まで上昇したものの再び149円04銭へ反落、149円28銭へ持ち直してで10月6日の取引を終えました。
まず、日米金融政策会合を終えて雇用統計発表前の発射台がどのような水準となるのか、さらに、その後の雇用統計の結果と市場の反応を見極めるまで神経質な値動きが続くことになります。
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