米8月雇用統計を受けてFRBによる利上げ停止観測が高まる・・
米8月雇用統計
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
米8月雇用統計は、就業者数が前月比18.7万人増と市場予想(17.0万人増)を上回った一方、6月分(7月改定値から8.0万人)、7月分(速報値から3.0万人)はいずれも下方修正され、直近3ヵ月平均は14.96万人増と15.0万人を下回り、前年同期から大幅に鈍化しました。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
さらに、失業率は3.8%と、7月(3.5%)から悪化した一方、労働参加率が7月(62.6%)から62.8%へ上昇するなど労働市場の逼迫が緩和し、前月比+0.2%、前年比4.3%といずれも前月を下回った時間給賃金が今後一段と鈍化することを示唆していると見られます。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
就業者数では製造業の増加は限定される一方、サービス業が全体の雇用増を牽引する構図に変化は見られませんが、中でも医療/社会扶助(ヘルスケア)の分野など人材の確保に努めている業種では依然として労働需要の高さが確認されており、輸送・倉庫管理など他業種の雇用減を吸収しています。しかし、学生ローン返済の再開やコロナ禍に蓄積された強制貯蓄の枯渇に加え、一部銀行格下げによる影響に伴う融資基準の厳格化などの複数要因によって、今後の個人消費支出が減速することになれば労働市場の逼迫緩和が加速度的に進む可能性に注意が必要です。
雇用統計を受けて9月19‐20日のFOMCで政策金利を据え置くとの確率が93%超へ上昇したほか、10月31‐11月1日のFOMCでも据え置くとの確率が65.0%超となり、先週はじめに50.0%を上回っていた年内後1回の利上げ確率は32.6%まで低下しています。
パウエルFRB議長は「インフレ率が必ずしもFRBの目標である2.0%まで低下する必要はないものの、目標に向かって持続的に低下している状況にあると政策担当者が確信することが大切」との考えを明らかにしました。こうした中、FRBが注視するインフレ指標の一つである8月31日に発表された7月の食品・エネルギー価格を除く個人消費支出(PCE)コアデフレーターは前年比+4.2%と上昇した一方、5‐7月期3ヵ月の上昇率は前年同期比+2.9%と単月を大幅に下回っています。
今後の注目点
アトランタ連銀ボスティック総裁が 「過度な引き締めは無用な害を及ぼす」「現在の政策スタンスは適切に制限的である」との認識を示した一方、クリーブランド連銀メスター総裁は「金融政策も一助となり労働市場の需給不均衡は改善した」と今回の雇用統計の結果を歓迎した一方で、「インフレは改善が見られるものの、依然高過ぎる状況にあるほか、労働市場も依然として力強い」との考えを明らかにしています。
実際、8月の雇用統計の結果は、米経済が景気後退を招かずに経済活動をソフトランディングに向けて鈍化させられる可能性を示したとの楽観的な声が聞かれます。しかし、就業者数が市場予想を上回ったとは言え、3ヵ月連続で20.0万人増を下回ったこと、また修正された6月の就業者数が10.5万人増とコロナ禍の影響で減少となった2020年4月以来最も低い数値となり、政府系(1.9万人増)があと僅か伸び悩んでいたら10.0万人を下回っていた可能性もあるかなり悪い数値との認識を持つ必要があるかもしれません。
年内の追加利上げ観測が後退する中、FRBが金融緩和へと政策転換に迫られる水準までインフレが低下するより前に、労働市場が「逼迫緩和」から急速な「悪化」に転じることが今後のリスク要因の一つとして注視する必要が高まってきたと言えるかもしれません。そのため、これまで以上に毎週木曜日に発表される新規失業保険申請件数、継続受給者数をはじめとする労働関連指標に加え、消費者物価指数(8月分は9月13日発表)や個人消費の動向を確認する上で小売売上高(8月分は14日発表)の結果や市場の反応がこれまで以上に注目されます。
USDJPY
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
米長期金利は大量の社債発行も控えてること、米外貨建債券や一部銀行の格下げの影響により上昇基調を続け、10年債利回りは4.20%近辺で高止まりが続いていることが、ドル円の堅調をサポートする一因となっています。しかし、こうした金利上昇は「悪い金利上昇」として捉えられており、警戒も必要かもしれません。そのため、上値メドとして、8月28日の終値(146円54銭)を終値ベースで上回ることができるか、さらには8月29日の高値(147円37銭)を上抜けることができるかが注目され、これらの水準を回復できなかった場合の調整による下落には注意が必要です。
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