米6月雇用統計
先週末7日に発表された米6月雇用統計の非農業部門就業者数は前月比+20.9万人となり、市場予測(+23.0万人)を下回ったほか、直近2ヵ月分で11.0万人減と下方修正されました。一方、時間給賃金は前月比+0.4%、前年比+4.4%といずれも市場予想(+0.3%/+4.2%)を上回りました。短期金融市場では、FRBが今月26-27日のFOMCで0.25%利上げを再開することを95%程度の確率で織り込んだ一方、9月以降については利上げ継続と停止で見方が割れていることから、今週12日に発表される米6月消費者物価指数の結果が注目されます。米2年債利回りは5.0%台へ上昇後に4.950%へ低下した一方、10年債利回りは昨年11月10日以来の4.094%へ上昇し、4.07%台で取引を終えました。
- ※出所:米労働省
時間給賃金は上昇したものの・・・
その(1) 経済的な理由によりパートタイムで働く人が前月比45.2万人増と5月(16.4万人減)から急増、 2020年4月以来の大幅な伸びとなり、全体で419.1万人(5月:373.9万人)となりました。労働力需給の緩みや業況悪化によって労働時間を短縮された人が増えたのが要因と見られており、景気が好況な時には、労働者はより多くの労働時間を確保できますが、景気が悪化するとパートタイムで働く人が増えるなど、パートタイム雇用の動向は経済全体を反映するだけに来月以降の動向が注目されます。
- ※出所:米労働省
その(2) 労働市場を牽引してきたサービス業の就業者数が12.0万人増と5月(23.6万人増)から大幅に鈍化。そのため、非白人系労働者や低学歴など社会的に地位が低いとされる労働者の失業率が悪化。さらに、全体的に低賃金とされる職種の雇用が伸び悩んだことで、相対的に時間給賃金が上昇。時間給賃金の上昇が必ずしも労働市場の逼迫に起因したものではないとされ、こうした動きにも留意しながら来月以降の雇用統計を注視する必要があります。
- ※出所:米労働省
米6月消費者物価指数(12日発表)
- ※出所:米労働省
11会合ぶりに政策金利の現状維持を決めた6月FOMC後の会見でパウエル議長は、「コアサービスの価格において賃金の影響が大きい点を確認した上で、労働需給の緩和が緩やかに留まっているため、賃金上昇の減速を通じた価格上昇圧力の緩和に時間を要する」との認識を示していました。しかし、6月雇用統計ではパートタイム雇用者数の増加や社会的地位の低いとされる労働者の失業率の悪化した影響がコアを含めたインフレ率の低下を加速させている可能性もあり、6月の消費者物価指数の結果が雇用統計の結果と整合性が取れているか否か注目されます。そのため、CPIの結果次第ではFRBが今月26-27日のFOMCで0.25%利上げを再開するとの観測が後退する、あるいは7月FOMCで金融引き締めサイクルの停止を示唆することになる可能性も含め注目されます。
USDJPY
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
先週末7日に発表された本邦5月名目賃金が前年比+2.5%と市場予測を大きく上回ったことを受け、日銀が27-28日の金融政策決定会合で緩和策の調整を行うのではとの思惑が浮上。米雇用統計の結果に加え、こうした日銀の政策を巡る思惑が円売りポジションを解消する動きを加速させ、ドル円の142円07銭までの下落につながる一因となりました。こうした状況で12日に発表される米6月CPIの結果次第では日足・基準線(141円91銭)、6月1日の安値(138円40銭)と6月9日の安値(138円77銭)を結んだライン(1)、さらには雲の上限(138円40銭)を目指してこれまでの円売りポジションの調整が進む可能性もあり注目されます。
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